北海道日本ハムファイターズの新本拠地「エスコンフィールド北海道」の近くに建設が計画されている新駅。来場者の多くは現時点での最寄り駅・北広島駅から徒歩、もしくはシャトルバスを利用しているが、約1700メートルの距離があり、歩いて向かうには少々遠すぎる。
これは建設当時からの大きな懸念材料だったが、そんなアクセス問題解消の一手として19年に発表されたのが「北海道ボールパーク新駅（仮称）」の建設計画。しかし、現在は計画自体が暗礁に乗り上げているという。
そもそも同駅は地元の北広島市が建設費を全額負担する形でJR北海道に建設を請願。市側の当初の見積もり額は80〜90億円だったが、今年2月になってJR側から伝えられた概算の工事費用は115〜125億円。なんと4割も多かったのだ。
これはここ数年の世界的な資材相場の高騰などの影響によるものだが、それでも35億円もの隔たりはあまりに大きい。北広島市は「合意は難しい」との姿勢を崩さず、建設費用の削減を求めていくとしたが、5カ月たった今も大きな進展は見られない。27年度末までの開業を目指していたが、今から着工しても間に合うかどうかは微妙な状況だという。
「JR案だと新駅は上下線の線路のそれぞれ外側に通過列車の線路を敷設し、臨時列車などが退避できる引き上げ線も設ける予定です。さらにホームと駅舎は跨線橋で結び、かなり大掛かりな工事になります」（鉄道ジャーナリスト）
コストを抑える方法はいろいろとあり、複数の専門家が提言を行っているが、どれも大幅な見直しが必要となる。だが、仮に提案されてもJR北海道がそれに応じる可能性は少ないと見られている。
「鉄道事業主である同社のほうが立場が強く、そもそも新駅はJR側の発案ではありません。大幅に譲歩する必要性もないですし、最悪白紙になっても構わないというフシさえ感じられます」（同）
ネット上には《新駅があれば便利とはいえ、ないなりにどうにでもなる》《アクセスしやすいわけじゃないが、不便ってほどでもない》などの意見も散見される。また、地元住民にも話を聞いたが、「新駅より別のことに税金を使ってほしい」「駅を作る金があるなら医療や介護、教育に充てるべき」との声も。
いずれにしても結論が出るにはもう少し時間がかかりそうだ。
