インスタント麺が健康志向の中国で売れない!? 日本メーカーの“大ピンチ”

 コロナ禍で日本国内では売上好調なインスタントラーメンだが、中国では若者を中心に急速なインスタントラーメン離れが進行していると、中国の国営メディアが報じている。健康志向の高まりによるものだといい、メーカーも変化しなければ売上の大幅な減少につながる可能性があるとの指摘もあがっている。

「『中国通信社』によると、現在、中国国内では日本の日清食品や韓国の農心などインスタントラーメンの値上げが相次いでいるものの、健康志向が強い中国の若者たちは『もう食べないから関係ない』といった声も聞かれるそうです。実際に若者のインスタントラーメン離れはかなりのスピードで進行していて、中国の食品メーカーである康師傅では、2021年のインスタントラーメンの収益が前年比で14.6%も減少しているのです」(フードライター)

 中国では新型コロナウイルスの感染拡大を受け、Z世代など若者を中心に健康への関心の高まりから「養生ブーム」が到来。一昨年の「独身の日」のセールでは2000年代生まれの世代が日本の「青汁」など健康商品を大量に購入していたという分析データもある。そのため、麺を油で揚げ、野菜も入っていない炭水化物のインスタントラーメンは身体に悪いイメージから、若者たちに敬遠されているのだ。

「この状況をメーカーは黙って見ているわけにはいかないでしょう。なぜなら、中国はインスタントラーメン大国と言われ、年間で約463億食が消費されているからです。この量は日本の7倍以上ですから、不健康なイメージを払拭できなければメーカーは非常に苦しい状況になると思います。日本ではコロナ禍の在宅需要で20年のインスタントラーメンの出荷額が過去最高を更新するなど好調な状況ではありますが、それ以前は販売量は右肩下がりでしたから、決して日本市場も安泰というわけではありませんしね」(フードジャーナリスト)

 今後、インスタントラーメンは健康をウリにしたものが増えるかもしれない。

(小林洋三)

ビジネス