JR北海道が札幌~旭川に構想する「在来線国内最速列車」を阻む「2つの脅威」とは!?

 現在、新函館北斗~札幌間の延伸工事を進めている北海道新幹線は、予定されている30年度末までの開業は延期になる可能性が高いと報じられている。

 その一方で、札幌とさらに北の旭川を結ぶ136.8キロの区間も道内では鉄道の大動脈であり、この間の列車の運行についても道民の関心は高い。

 JR北海道の綿貫泰之社長は4月1日の会見で、同区間に「高速列車構想」があることを発表した。札幌~旭川は現在、特急列車の「カムイ」と「ライラック」が1時間25分で結んでいる。これが、構想中の高速列車になると、わずか1時間と大幅に短縮されるという。

「その場合、最高時速は現在の120キロから160キロとなります。山形・秋田新幹線でさえ並行在来線区間は最高130キロのため、これを大幅に更新して在来線では国内最速列車となる可能性が高いですね」(鉄道専門誌編集者)

 札幌~旭川は途中の100キロ近い区間がほぼ直線。さらに高低差もほとんどなく、高速運転に必要な条件が揃っている。ただし、解決しなければならない大きな問題もあるという。

「1つ目は冬場の除雪です。途中の岩見沢市から深川市にかけては道内でも降雪量が特に多い地域で、積雪が100センチを超す年もあるほど。短時間で一気に降るドカ雪も多いですし、保線部門への負担がさらに増すことになります」(前出・編集者)

 そして、もう1つはエゾシカだ。近年、大繁殖しており、北海道では線路上に侵入してくることも多く、警笛を鳴らしたり、徐行運転を強いられることも少なくない。

「区間中、唯一の山間部である旭川盆地と石狩平野の境目にある神居古潭(かむいこたん)一帯は、エゾシカの生息区域。特に時速160キロ運転となった場合、視認してからブレーキをかけても間に合いません。他の路線に比べれば出没はまだ少ないですが、それでも高速運転が始まれば衝突事故が増えると懸念されています」(前出・編集者)

 今後の北海道の大動脈の発展には、雪や鹿といった自然との共生も不可欠のようだ。

※写真は札幌~旭川間を走る「特急カムイ」

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