中国の“繰り上げメダル連発”で怒りの提訴!「中韓バトル」の根深い背景

 オリンピックではしばしば“誤審”や“えこひいき”を巡って物議を醸すものだが、両国の威信がかかるとさらに激しさを増すもので、北京オリンピックではショートトラックで中国と韓国がぶつかっている。

「2月5日に行われたショートトラックの混合2000メートルで、準決勝2組で中国がハンガリーとアメリカに次ぐ3位となって決勝に進めないはずだったものが、アメリカが失格となったことで、中国が滑り込みで決勝に進出。そして決勝ではイタリアに僅差で勝利して金メダルを獲得しました。さらに7日に行われた男子1000メートル決勝でも、中国選手は2、3位でしたが、トップのハンガリー選手が失格となり、中国が金・銀メダルを獲得。このように相次ぐ失格判定によって中国が繰り上がる事態が連続したことで、自国びいきではないか?との疑惑が持ち上がっています」(スポーツ紙記者)

 面白くないのがハンガリーやアメリカで、両国からは怒りの声が上がっている。また韓国からも、スピードスケート代表の主将・クァク・ユンギが「中国が優勝するまでの過程を見ると、不公平で残念な気持ちになる」と悔しさを露わに。韓国オリンピック委員会も、スポーツ仲裁裁判所に提訴することを発表した。というのも、先のショートトラック男子1000メートル準決勝で、韓国のエースであるファン・デホンが1組1位、イ・ジュンソが2組の2位でそれぞれゴールしたものの、2人とも失格処分にされてしまったからだ。これにより両選手に代わって中国選手が決勝に進んでいる。

 ショートトラックを巡っては、韓国と中国ともメダルラッシュの期待がかかる“お家芸”で、以前から因縁があった。前回18年の平昌オリンピックでは、中国のメダル獲得数は9個で、うち3つはショートトラック。しかも同大会唯一の金メダルを含む。一方、ホスト国・韓国はメダルラッシュとなり、トータル17個のうちショートトラックは6個で、うち金メダルが2つ。さらにその前のソチ大会でも、中国はメダル9個でショートトラックは6個、うち金メダル2つ。韓国はメダル8個のうちショートトラックで5個稼ぎ、金メダルが2つあった。

「両国ともにおよそ3分の1から半分のメダルがショートトラックで、金も取れる。つまりは“稼ぎ頭”の競技なのでバチバチのライバル関係にあるのです。韓国では同種目を『孝子種目』(孝行を行う種目)として重点競技に指定しているのですが、中国も平昌オリンピック後に最強韓国を支えた指導者を引き抜くなど、遺恨だらけなのです」(同)

 ケチのつけ始めは開会式からあった。式では中国国内56の民族の代表が、中国国旗である五星紅旗を掲げ持つ場面があったのだが、その中には韓服を着た女性の姿もあった。吉林省に朝鮮族自治州があって、そういった多様性に中国は支えられているという演出からなのだが、韓国にしてみるとあたかも韓服は中国にルーツがあるように見せる「文化工程」だというのだ。同じような問題は、2020年に「キムチの起源」を巡って両国が反発しあうという騒動があった。

 スポーツより自国の宣伝が優先される国で行われているオリンピック。今後もトラブルは絶えないだろう。

(猫間滋)

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