忍び寄るロシアのウクライナ侵攻 「Xデー」は“北京五輪とパラの間”説も

 ウクライナの国境付近でウクライナ軍とロシア軍が対峙して国際的緊張が高まっている。そもそもの問題は、ヨーロッパと北米の西側30カ国が加盟する政府間軍事同盟であるNATO(北大西洋条約機構)にウクライナが仲間入りを望んでいることだが、地政学的に言えば、ウクライナが西側に付けばロシアにとって喉元に刃物を突き付けられた格好になる。それだけに、ロシアのプーチン大統領としてはこれ以上、NATOの東方への拡大は絶対に譲れない一線となる。だからこそ緊張が高まっているわけだが、

「1月10日にはロシアとアメリカの間で、12日にはロシアとNATOとの間で話し合いが持たれたものの、いずれも両者の隔たりは大きく物別れに終わって戦争を回避する策は見つかっていません」(全国紙記者)

 これが厄介なのは、対アメリカでロシアと中国は共闘関係にあり、もしロシアがウクライナに侵攻することがあれば、それは中国にとって台湾にアクションする絶好のタイミングになるからだ。もしそうなれば日本も対岸の火事とは言っていられない。そこで危険視されているのが、2月20日〜3月4日のタイミングだという。

「北京五輪の閉幕が2月20日で、パラリンピックの開幕が3月4日だからです。さすがにロシアも中国のメンツを潰すわけにはいかない一方、冬の間は凍土に囲まれるウクライナは春になると氷が解けてぬかるんだ土地になってロシアにとっては侵攻の足かせになるので、そこから逆算すると、2月20日が過ぎたところで短期決戦に出るのが絶好のタイミングになるわけです」(同)

 となると連鎖的に台湾海峡の緊張も高まって、第3次世界大戦が勃発!なんて恐怖もよぎるが、実はウクライナとロシアの間では既にサイバー戦争が勃発しているようなのだ。

「ウクライナ政府は14日に外務省を始め70の政府機関のサイトがハッキング攻撃でダウンしたと発表しました。そして16日には、ハッキング攻撃の背後にはロシアがいると明言。ロシアが『ハイブリッド戦争』を通じてサイバー空間での勢力を増しているとの見解を示したのです」(週刊誌記者)

 ハイブリッド戦争とは、旧来の物理的攻撃のみによらず、心理戦やサイバー戦などの非正規戦で相手の優位に立とうとする戦闘のことで、現代の戦争では必須となるもの。そこでのドンパチがもう始まっているというのだ。

 この諍いが厄介なのは、ロシアから伸びたパイプラインでロシアは欧州への天然ガスの供給の3分の1を握っていること。もしアメリカがロシアに制裁を加えようとするなら、ロシアはこれを人質に天然ガスの兵糧攻めに乗り出すに違いないということだ。 

 コロナがそうだったように、グローバル社会の1点で生じた脅威はいつワールドワイドな脅威となるとも限らない。

(猫間滋)

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