「秘境駅ばかりに停車する」JR東海の“珍急行”に予約殺到!

 人の気配もなければ民家もほとんどない山奥などにひっそりと佇む秘境駅。どこか哀愁が漂わせ、周りの自然に溶け込んだ風情ある景色は、鉄道マニア以外にもファンが多い。

 そんな秘境駅の多くは、1日の平均乗降客が数人以下。特急や快速はもちろん、なかには各駅停車のはずの普通列車さえ通過してしまう駅もあるほどだ。しかし、そんな秘境駅ばかりに停車する急行列車も存在する。

 それが毎年春秋に期間限定で運行するJR東海の『飯田線秘境駅号』。この秋の運航日は11月20~23日の4日間で、愛知県の豊橋駅と長野県の飯田駅の129.3キロの区間を約4時間40分~5時間40分かけてゆっくり運行する(※23日の上り列車に限り、飯田駅ではなく市田駅始発)。

「南アルプス沿いを縫うようにして走る飯田線は、沿線のほとんどが過疎地域。全国屈指の秘境駅が多い路線として知られています。数多くの著書がある秘境駅訪問家の牛山隆信氏が毎年『秘境駅ランキング』を発表しているのですが、秘境駅ベスト10のうち4駅が飯田線。各急行ともその全駅を含む、7~8駅の秘境駅に停車します」(鉄道ライター)

 特に注目は、同ランキング3位で鉄道以外では険しい山道を歩かないと到達不可能な小和田駅。駅周辺には廃墟化した建物や放置されたオート三輪などが点在し、何十年も前から時が止まったままのような雰囲気だ。

 ただし、飯田線は天竜川の渓谷沿いに走るので秋は紅葉の絶景路線となり、秘境駅号はきっぷの入手が難しい列車としても有名。今回も発売開始の運行1ヶ月前からすぐに満席になってしまったようだ。

「普通列車で訪れようとすると次の列車まで数時間待つことも多く、アクセスが大変不便なんです。その点、秘境駅号なら各秘境駅に5~20分の停車時間で次の駅に向かうため、効率よく回ることができるんです」(同)

 来年のスケジュールは未定だが、例年通りなら春は4月に運行される。沿線には桜も咲いており、紅葉に負けないくらいの絶景だ。ぜひ乗ってみたいという方は、こちらを狙ってみるといいだろう。

(高島昌俊)

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