年に一度「極寒の秘境駅」に人が殺到する日があった!なぜ、そんなトコへ…

 人がほとんど住んでいない僻地などにある秘境駅。通勤・通学などで日常的に利用する客が0人のところも珍しくなく、JR宗谷本線の糠南駅(北海道幌延町)もそのひとつ。だが、ここが他の秘境駅と違うのは年に一度、大勢の人が殺到する日があることだ。

 それは毎年12月に行われる通称「糠南クリパ」と呼ばれるクリスマス・オフ会。15年に糠南駅を愛する鉄道ファンが自主的に企画したのがきっかけで、その後は参加者が年々増加。前回の19年には全国各地から80人以上が訪れ、原野にポツンと佇む列車1両分程度の長さしかない短いホームは大勢の人で埋め尽くされた。

 実際、過去に同イベントに参加した30歳の男性会社員は、「駅に向かう列車は、普段ガラガラなのに満員。ホームでは特製ケーキが振る舞われ、全員サンタ帽姿で記念撮影しました。木製のホームの床が抜けそうで怖かったですが、今となってはいい思い出」と話す。

 ただし、停車する列車は上下線で1日に6本しかなく、冬場は大雪による運休も多い。仮に無事現地に向かうことができても道内でも寒さの厳しい地域で、氷点下20度の猛烈な冷え込みの中で開催された年もあったとか。

 そんな過酷な環境にもかかわらず、物置を流用した小さな待合室があるだけでトイレもない。しかし「そういう不便なところもこの駅の魅力」と語るのは、同じく糠南クリパに参加経験のある20代の男性会社員。
 
「近年、宗谷本線は沿線駅の廃止が相次いでいますが、糠南駅は幌延町が維持管理を行うことで廃止の危機を回避。クリパも地元の観光イベントと位置づけ、町ぐるみで支援しています」(鉄道ライター)

 今年は12月18〜19日の2日間開催。さすがに現地に行くのは無理でも開催期間中はライブ配信も予定されている。ネットを介して雪の中の秘境駅オフ会に参加してみるのも面白そうだ。

(高島昌俊)

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