週刊アサヒ芸能連載でもおなじみの元ジョッキー・細江純子氏が騎手心理を代弁する。
「馬はとても繊細で頭のいい生き物。苦しさから逃れる術を理解している馬もいて、調教嫌いで早く厩舎に帰りたい仔も。私が馬に乗っていた際は、コースや坂路への出入り口には特に気を遣っていましたね。あと左回りだと、4コーナーではスタンド側のきらびやかな照明を右目で受けることになるのですが、馬は左右の目に映る風景が違うので、周回が逆になれば見える景色も変わります。騎手の方々は、さまざまなことに気を遣われると思います」
これまで模擬レースは2回行われており、第1回は10月8日の昼間。5頭立てだったが、騎手の手探りぶりが伝わってきた。
「逸走しないように気を遣っているようで、超スローの流れでした。1着でゴールした馬は11月4日の1600メートル戦を1分41秒9で走っているのですが、模擬レースでは1分53秒1。本番ではないし、50メートルの距離の違いや馬場差があるにせよ、11秒以上も遅かったわけです。なので、追い込み馬にもかかわらず2番手を追走して、最後の直線で抜け出す形の競馬でした」(スポーツ紙記者)
第2回模擬レースは10月31日の夜。ナイター照明がともる中、7頭立てでファンファーレも鳴らす、本番に近い形で行われた。
スタート後は3頭が激しい先行争いをする縦長の展開。結局、そのまま先行馬3頭でゴールし、タイムは1分49秒1と、第1回よりも4秒速かった。
「ラストの直線は300メートルありますが、ある調教師は『最初のうちは実質250メートルのレースになるだろう』と話していました。4角を回り切るまではどうしても慎重になるというわけです。であれば、馬券的には逃げ馬や内枠から好位でジッとしていられる先行馬が狙い目。後方からの競馬では、トップギアに入る前にゴール、というシーンが浮かびます。これまでの実績が通用しない可能性もありますので、大波乱の連続、なんてこともありそうです」(競馬ライター)
記念すべき初戦は、中央の1勝クラスにあたる「B2・B3級特別」として、大井所属馬限定で行われる。高知競馬名物「一発逆転ファイナルレース」と同じように「大井の左回り」は、大波乱馬券の宝庫になるかもしれない。
*「週刊アサヒ芸能」11月25日号より