5月20日は成田空港開港記念日。日本の玄関口として今年で43年を迎え、これまでの累計旅客数は11億人を超す。
そんな同空港にはJRと京成電鉄が乗り入れており、ターミナルに直結した成田空港駅と空港第2ビル駅がある。実際に利用したことがある人も多いと思うが、空港敷地内にはもう1つ鉄道駅が存在することを知っているだろうか? それが東成田駅だ。
第1・第2の両ターミナルに挟まれた場所にある同駅の1日の乗降人員は1796人(※19年度)。しかし、ほぼ全員が空港関係者で、昼間に乗り降りする人はごくわずか。そもそも2つのターミナル駅とは別路線で、手前の京成成田駅で乗り換える必要があるからだ。
東成田駅には4つの地下ホームがあり、現在使用されているのは2つだけ。残り半分は長期間放置されたままで駅名標は「成田空港駅」と違う名前になっている。これには理由があり、開港当初は東成田駅が成田空港駅として運用されていたためだ。
この経緯について「新幹線乗り入れの計画があって、暫定的に空港ターミナルから離れた場所に駅を作ったのです。それが白紙となって代わりに新駅として開業したのが今の成田空港駅でした」と話すのは鉄道ライター。
つまり、最初から期間限定の空港駅だったわけだが、駅名改称から30年が経った今も構内は当時のまま。ホーム以外にも一部区域が関係者以外立入禁止になっているがパーテーションの隙間から覗くことができ、かつての空港駅時代の面影を残している。
「空港第2ビル駅とは地下道で結ばれ、歩いて10分ほどで移動できますが利用する人は滅多にいません。空港内にあるのに日中は人の気配がまったくない東成田駅には廃墟のような雰囲気が漂っており、一部の鉄道マニアから人気です」(前出・鉄道ライター)
山奥など人里離れた場所をイメージしがちな秘境駅。だが、こんな大空港のど真ん中にもあったのだ。
(高島昌俊)