北京市朝陽区の市場監督管理局は10月12日、ソニーの中国法人に対して100万元(約1800万円)の罰金を科したことを発表した。同社が新製品を発表すると予告した日が盧溝橋事件が起きた日と同じだったことから「国家の尊厳を損なった」としているが、日本のネット上では《中国の横暴だ!》と批判の声が殺到している。
「6月30日、ソニーチャイナは、中国版SNS『微博(ウェイボー)』にカメラの新製品発表会を7月7日22時におこなうと発表しました。しかし、これが日中戦争の引き金とされる盧溝橋事件が起きたのと同じ日時だとして、《なぜ、わざわざ盧溝橋事件の日に発表を!?》《日本が戦争の反省をしていない証拠だ》など批判が殺到。これを受け、同社は7月1日に謝罪を発表して発表会を中止することも明らかにしていました」(中国事情に詳しいライター)
ソニーチャイナが謝罪したことで事態は収束したかに思えたが、10月になり中国当局が同社の行為は国家の尊厳や利益に損害を与えてはいけないとする広告法9条に違反したとして、罰金を科していたことが発表されたのである。なお、ソニーチャイナは罰金に対して「罰金の決定を尊重し、協力していく」とのコメントを発表し、罰金を支払う意向であることを明らかにした。
「日本ではこのことが18日に報道されると、ネット上では《別にわざと盧溝橋事件の日を狙って発表会をしようとしたわけでもないだろうに、謝罪もしたのにかかわらず罰金とはあまりに横暴》《1000万円以上の罰金まで払う必要はない》などといった声があがっています。チャイナリスクと言ってしまえばそれまでですが、中国国家統計局が発表した2021年7~9月期の国内総生産(GDP)は前年同期比4.9%増と、それまでの成長率から比べ急ブレーキがかかっている状況で、今回のソニーへの対応は日本企業からの搾取の姿勢が影響しているのではないかとの指摘もあります」(経済ジャーナリスト)
日本企業への狙い撃ちがエスカレートしなければいいが…。
(小林洋三)