8日の所信表明演説で「信頼と共感を得られる政治」を掲げ、改めて対話を重視する姿勢を前面に打ち出した岸田文雄首相。「聞く力」を自らの長所とする岸田氏にとって、円滑な対話の一助となっていたのが、コミュニケーションならぬ、飲みにケーションだ。
「岸田氏のお酒の強さは政界随一と言われます。外相の頃には、ロシアのラブロフ外相とディナーでウオツカの杯をどんどんあけ、酒豪で鳴らすラブロフ外相が途中から白ワインに変更した、というエピソードもありますからね。かつて、田中角栄元首相も訪中時の宴席で周恩来首相と茅台酒を酌み交わし、日中関係正常化のきっかけを作ったことを考えれば、関係を深めるためには、飲めないよりは飲めたほうがいい。そういう意味では、外交を考えた場合、岸田氏が酒豪であるということは武器になるかもしれません」(政治ジャーナリスト)
総裁選前、YouTube番組「選挙ドットコムちゃんねる」に出演した岸田氏は、「政治家同士でもよく飲みに行ったし、地元の有権者と飲む機会も多かった。バンバンお酒を注がれてそれに応じて飲むといった風景が若い頃は結構ありました」として、「乱れることは少ないんですが、30、40代を振り返ると年に1回は記憶がなくなるまで飲んでいて。記憶が繋がらないと不安になるから一緒に飲んでいた人に電話をかけ、どこまで一緒だったか辿っていた。ようやく記憶が繋がって安心することが年に1、2回はありました」と告白。また、TBSの番組に出演した東国原英夫氏も「去年一緒に飲みましたが、まあ酒が強い人です」として「ビール、ワイン、日本酒。ちゃんぽんで2時間。最後までしっかり政策を仰っていました」と2時間飲み続けても、冷静に政策を語っていたというエピソードを紹介。「見た目、優男でマイルドで。でも酒を飲む姿は武士みたい。全然違う」と、その酒豪ぶりに舌を巻いていた。
そんなこともあり、4日配信の「女性自身」(WEB版)では、《安倍昭恵さん 岸田新首相と“ビール100杯”の酒豪伝説…宣言解除日も台風のなか居酒屋へ》との記事を掲載。記事によれば、安倍元首相が新人の頃、隣県の広島から岸田さんが度々応援にやってくることがあり、持病の潰瘍性大腸炎を抱え酒が飲めない安倍氏に代わり、岸田氏と昭恵さんとが酒席で『お酌コンビ』として活躍した、とのこと。安倍氏の地元・山口県の後援会関係者の話として、《そんなときに『ここは私たちが』と言って、昭恵さんと岸田さんが2人でお酌をして回っていました。今でも安倍さんは『私に代わって、100杯もビールを飲んでくれました』と2人への感謝を口にしています》というエピソードを紹介している。
前出の政治ジャーナリストが語る。
「『ビール100杯』伝説について、真偽のほどはわかりませんが、安倍さんと岸田さんとは選挙区が山口と広島ということもあり、お互いが応援に駆け付けていたことは事実。さらに2人とも自民党青年局長の経験があり、台湾の議員と飲み交わす機会もあった。当然、紹興酒からはじまり茅台酒といった強い酒になることもしばしばだったでしょうから、酒の席で岸田さんが安倍さんをフォローしていたことは十分考えられます」
そんな強い絆もあって「まるで安倍政権の三番煎じ」と揶揄する声もある岸田新政権。はたして、森友学園問題や桜を見る会の再調査の行方は?
(灯倫太郎)