【日本ハム】新庄監督の地道な「完投革命」が効いた“50勝一番乗り”

 パ・リーグで快進撃を続ける北海道日本ハムファイターズが、7月14日の西武戦(東京ドーム)で今季50勝目を挙げ、リーグ一番乗りを果たした。50勝一番乗りは球団史上13年ぶり8度目。過去7度のうち、4度は優勝に直結しており、歓喜のシーズンとなる可能性も現実味を帯びてきた。

 監督4年目を迎えた新庄剛志監督。チームは現在、2位のソフトバンクに2.5ゲーム差をつけ首位をキープ。貯金も「18」と過去最多を記録しており、その采配には球団フロントも驚きを隠せない。「出来過ぎと言ったら怒られそうなんですけど…。想定以上の成績を挙げていただいている」と井川伸久オーナーも嬉しい悲鳴を上げている。

 新庄監督が今季掲げたノルマのひとつが「完投王国21」。7月14日時点で、チームの完投数はすでに「19」。「21」を前半戦でクリアしそうな勢いで、12球団トップだ。かつての野球では当たり前だった完投だが、現代野球では極めて稀な戦略となっている。ところがこの“昭和スタイル”が、今の日本ハムに驚異的な安定感をもたらしているのだ。

 14日の試合では、達孝太投手がわずか1失点で完投勝利を挙げ、開幕からの連勝を6に伸ばした。新庄監督は「先発が最後まで投げ切る姿ってカッコいいでしょ?」と話しているが、その裏にはローテーションの再構築という地道なチーム強化がある。開幕当初は6人制だった先発ローテーションを、5月以降は8人に拡大。これが夏場に起こりがちな先発投手のスタミナ切れを防ぐ要因となっている。

 そんな中、今季も1年契約で臨む新庄監督の去就にも関心が高まっている。井川オーナーは来季について白紙状態であることを強調しているが、仮にリーグ優勝、さらには日本一となれば、監督続投への機運も高まるだろう。

(小田龍司)

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