東京都知事選は小池百合子知事が計291万8015票(得票率42・77%)を獲得して三選を果たした。これは各メディアなどが事前調査していた予測どおりだけに、特に驚くことではない。しかし各政党関係者を驚かせたのは、次点に野党第一党と共産党が全身全霊で支援した蓮舫前参院議員ではなく、どの政党の支援も得ず立候補した前広島安芸高田市長の石丸伸二氏が滑り込んだことだ。
そんな政界の「石丸ショック」ぶりを、政治部記者がこう明かす。
「東京に何の地盤もない広島県の一市長が無手勝流で名乗りをあげ、立民の顔ともいうべき蓮舫氏を大きく引き離し約166万票を獲得したことは衝撃でしかない。もう一度都知事選を小池氏とガチンコで争えば石丸氏が勝つ可能
石丸氏の驚愕の得票数の原動力となっているのが、無党派層と若者からの圧倒的な支持とネットの駆使だ。無党派層の支持がいかに多かったかは、共同通信が実施した投開票日当日の出口調査でも明らかで、石丸氏はトップの37%。小池氏が30%と続き蓮舫氏は16%。年代別別では、実に18~29歳の41%が石丸氏に投票したという。
「石丸氏は小難しい政策よりも、例えば金融機関に勤めていた過去の経験を踏まえ『経済が分かる人が知事になれば東京はもっと変わる』など分かりやすい言葉を駆使し、1日10カ所以上で精力的に街頭演説をこなした。その演説を聴衆らがスマホで撮影して全国に拡散され、東京以外からもボランティアが殺到したという。その数、最終的には5000人以上にまで膨れ上がり選挙活動を支えたわけです」(前出・記者)
さて、こうなると今後の石丸氏の動向が大いに気になるところ。投開票日に記者から尋ねられた石丸氏は「まだ決めてない」としつつ、「国政は選択肢としては当然考える。例えば広島1区。岸田首相の選挙区もある」としていた。
選挙アナリストはこう指摘する。
「現段階で党を作る意思はないと否定していた石丸氏ですが、『石丸新党』立ち上げの可能性はまだ残されている。新党結成には10億、20億円の資金が必要ですが、今回の選挙ではたった1カ月間で2億円超のネット献金が集ま
都知事選により思わぬ大波が起きた。
(田村建光)