岸田首相のキーウ訪問は絶望的!? 米大統領とは対照的な「情報ダダ漏れ」官邸

 日本ではテレビ番組中に緊急速報のテロップが流された。それだけ突然だったのが、アメリカのジョー・バイデン大統領の電撃的なキーウ訪問だ。

「もともと公表されていた予定では、20日はポーランドを訪問する予定でしたが、旅程表では妙に長い空白があったため、地元記者の間では『もしかしたら』との推測があったそうです。親しい側近のみと数カ月も前から計画していて、20日の午後7時にポーランドのワルシャワに向けて飛び立つはずが、実際には前日19日の午前4時15分には既に機上の人となっていたとか。2名だけ同行が許された記者とは事前に秘密保持契約を交して、携帯電話を取り上げるという用意周到ぶりで、大統領夫人のジル・バイデンも直前になって明かされたほど。ジル夫人はキーウ行きを知らされた際、『なんですって?どこへ行くと?』と聞き返したそうです」(全国紙記者)

 21日にはロシアのプーチン大統領が、政治の基本方針を示す年次教書演説をする予定だったが、その機先を制するというのも計画的。アメリカの高度な情報戦には舌を巻くしかないのだが、特に日本の岸田官邸の関係者はその思いを強くしているだろう。

 これでG7首脳でキーウを訪れていないのは、岸田首相のみとなった。特に今年は広島サミット議長国なので、なんとか外交で目立ちたいところ。1月には電話協議で直接ウクライナのゼレンスキー大統領から招待を受け、2月18日には林芳正外相がドイツ・ミュンヘンでウクライナのクレバ外相と会談した際にも招待を受けたが、当面は実現することはないだろう。もちろん国会会期中でスケジュールの調整がつかないことがあるが、せっかく練っていた計画も、情報漏洩で水泡に帰した経緯があるからだ。

「1月22日に読売新聞が『訪問検討』とスクープしたことで、訪問のタイミングが失われました。話を総合すると、しばらく前から岸田首相のキーウ訪問計画が練られていて、2月24日の未明に政府専用機で日本を発ち、ポーランド経由でウクライナに入るという計画が実際にあったようですが、読売のスクープで無しになりました。外務省か政府専用機を飛ばす自衛隊、警護に当たる警視庁の関係各所のどこかから漏れたということなのでしょう」(同)

 だが岸田首相の場合、そもそも身内の息子から情報が漏れていた疑いさえあるのだから始末が悪い。なかなか大臣を辞めなかった山際大志郎・経済再生担当相の辞任は、首相発表より先にフジテレビが報じ、息子の翔太郎秘書官がフジの女性記者の手玉に取られたとされた。事実であれば、ジル夫人のエピソードとはまったくもって対極的な話だ。サプライズとなった日銀総裁人事も国会提出前にマスコミに漏れたため、野党から責められて松野博一官房長官は、情報漏洩は否定しつつも陳謝を余儀なくされている。

 バイデン大統領のキーウ訪問が、まるでスパイ小説を思わせる高度な情報戦の成果ならば、岸田官邸の情報漏洩は、週刊誌の三文記事のようなパルプフィクションとも言うべきか。

(猫間滋)

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