中央政界は相変わらず解散風が吹いていて、早くて6月21日の国会会期末に解散、7月23日投開票の見方が依然強い。最終決定者の岸田首相は、少子化対策では予算のやりくりは年末に先送り、不肖の息子のクビを切り、公明党との仲たがいも一部の選挙区で公明党の要求に折れる形で連立解消を避けて準備は整っている。
6月5日には麻生副総理と茂木幹事長が会談を行い、どちらか一方から慎重論が出たとされ、6日には二階元幹事長が「解散風はけしからん」と、牽制の動きを見せたという。
その前の6月4日、2つの東西でおこなわれた選挙が注目されていた。東京大田区で都議の補選があり、大阪第2の政令指定都市である堺市で市長選があった。東京では自公の選挙協力解消後の行方を、大阪では維新の人気ぶりを占うという意味で、衆院選の前哨戦との見方があったが、いざフタを明けてみるとどうもあまり役には立たなかったようだ。
「東京大田区の補選では、立憲民主と共産党が推薦した候補がトップで、自民党候補が2位で当選し、国政政党の力を見せた結果となりました。それもそのはずで、過去2番目に低かった21年の都議選の投票率42.39%に比べても、今回は地味な補選ということもあって投票率わずか25.33%。無党派層がぜんぜん動かなかった選挙なので、衆院選でどんな風が吹くかの参考にもなりません」(全国紙記者)
ただ、それでも公明党の応援の無い選挙を自民党が戦ったこと。そして維新と都民ファーストの候補が3、4位で当選に届かず沈んだが、維新は馬場代表がわざわざ応援に駆けつけ、都民ファーストは小池都知事が指名した候補だったにもかかわらず、だいぶ差を付けられたことは何らかの示唆となったかもしれない。
そして、もっと役立たなそうなのが西だ。
「堺市長は09年に橋下徹大阪府知事の腹心だった竹山修身氏が橋下さんの全面支援を受けて市長になりましたが、13年の市長選では大阪都構想で反対に回った竹山さんが再選。次の永藤英機氏から維新派の市長になりますが、代表の馬場さんの地元でもある堺市は、維新にとっては必ずしも維新になびくとは限らない因縁の土地でした。ところが今回の選挙では現職の永藤さんが圧勝で再選。次点の候補は元自民市議でしたが、自民党は支援を見送って実質、不戦敗。こちらも維新相手に戦いにならなかっただけに、維新人気の現状追認だけで、衆院選のサンプルになるのかどうか」(同)
最終的にいつ解散を決断するかは岸田首相の胸の内次第なのだが、今回の選挙結果は、先を見通すより不透明感をさらに増すものだったかもしれない。
(猫間滋)