折からの厳しい経営状態にコロナ禍の旅客収入の激減が追い打ちをかけているJR北海道。今春は日高本線の鵡川~様似間が廃線となるなど42駅が廃止。それに比べれば少ないが、来春も7駅が廃止になる見通しだ。
ちなみに同社は路線名だけで具体的な駅名を明かさなかったが、北海道新聞や函館新聞など地元メディアの調べによると、函館本線の池田園、流山温泉、銚子口(いずれも七飯町)、石谷、本石倉(どちらも森町)の5駅、宗谷本線の歌内(中川町)、根室本線の糸魚沢(厚岸町)であることが判明。
近年、JR北海道は毎年のように路線や駅の廃止が続いており、2012年以降に廃止になった駅は96駅。来春で100駅を超える。
「来年3月の廃止予定駅は、いずれも1日の平均乗降者数が3人以下の利用実績がほとんどない駅です。でも、北海道にはそんな駅がまだまだ数多くあり、今後も駅の廃止は続くと思われます」(鉄道ジャーナリスト)
また、JR北海道管内では函館本線の長万部~小樽、根室本線の滝川~新得・釧路~根室、富良野線の旭川~富良野、日高本線の苫小牧~鵡川、室蘭本線の沼ノ端~岩見沢、留萌線の深川~留萌、石北本線の新旭川~網走、釧網本線の東釧路~網走の各路線も赤字が深刻で、存続について協議されている。一気に廃止になることはないと思われるが、今後これらの路線の中から段階的に廃線になっていく可能性は大いにあるだろう。
「北海道は国鉄時代から路線の廃止が相次いでおり、路線網はすでにピーク時の半分。札幌まで新幹線で行くことは可能になっても北海道はそもそも車社会。近い将来、道内の主要都市にすら鉄道で行けなくなる日が来るかもしれません」(同)
一向に改善の兆しを見せない経営状態を考えれば、仕方がないのかもしれないが、これほどまでに廃止が続くのはなんともさびしい限り。少しでも多くの路線や駅を存続させてほしいものだ。
(高島昌俊)