コロナで続々導入「セルフレジ」、操作をめぐり客同士が殴り合いの大喧嘩!

 新型コロナウイルスの影響で、小売店でも客側と売り手側のソーシャルディスタンスが求められている。今やコンビニやスーパーなどでは、客とレジ係の手が直接触れ合わないように配慮するのがマナーとなっているが、そんな中で注目されているのが「セルフレジ」だ。

 セルフレジとは、来店客が自ら精算処理を行うレジのことだが、大きく「フルセルフレジ」と「セミセルフレジ」の2つがある。前者は買い物客が商品バーコードの読み取りから精算まで一貫して行うレジ、後者は精算のみ行うレジだ。

 特にここ最近はセミセルフレジを導入する店が増えているとして、都内小売店の店長は次のように語る。

「会計を機械任せのセルフ式にすることで、釣り銭の間違えはなくなり、感染症のリスクも低減することができるとあって、客側のメリットは大きい。一方、店側にとっては人件費などのコスト削減にも繋がります。とはいえ、機械の操作に不慣れな人も多いため、仮にフルセルフにしてしまうと戸惑う人が続出してしまう。そこで導入したのがセミセルフレジ。商品入力を店員、精算処理をお客が分担して行うため、効率よく店を回すことができると思ったんです」

 しかし意外にも、セミセルフレジを導入したことでデメリットが浮き彫りになってしまったようだ。

「セミセルフレジの操作に不慣れな人は多いため、説明に時間がかかってしまうこともあります。基本的には支払い方法をタップで選んで、お札と小銭を投入するだけなのですが……。中には『こんな複雑な操作を年寄りができるか!』と怒る高齢客などもいてクレーム処理にあたることもあり、結果的に僕らの仕事量は増えている気がします。少しでも人件費を抑えたいという思いから約100万円以上もかけて導入したのに、これじゃ本末転倒です」(前出・小売店店長)

 また、客同士のこんなトラブルもあったという。

「うちの店では、お客がセミセルフレジでちゃんと精算処理を終えたことを確認するまで、次のお客をお通しすることはできません。そのため、前のお客が精算処理に時間がかかっていると、後ろのお客が『早くしろ!』と怒鳴ることもあり、その諍いが原因で殴り合いにまで発展したこともあります」(前出・小売店店長)

 最近では都内各所のコンビニでも見かけるようになったセルフレジ。そのコンビニの例でいえば、店員が目の前に付きっ切りで見守る状況の中で、客はみずから精算処理を行うこととなる。その時点で、人件費削減にはつながっていないような気もするし、かといって、精算時に店員がレジを離れれば、客が代金を支払わずに帰ってしまう万引きのリスクも懸念される。

 店員側と客側、ともにストレスの元となっているセミセルフレジが、このコロナ社会に受け入れられるまでには、もうしばらく時間がかかりそうだ。

(石丸徹)

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