コロナ感染による性機能障害の事例は、サイズの縮小だけにはとどまらない。先に林院長の話でも触れたが、血流の悪化で症状が出るEDは深刻な問題で、イタリアで行われた研究で感染後にEDを発症するリスクは、感染していない男性の5倍以上になると報告されている。
EDを発症する原因について、ウェルビーイングクリニック駒沢公園・布施淳院長に話を聞いた。
「コロナ感染の後遺症で、EDに悩む方が急増した実感は今のところありませんが、EDの症状を訴えて来院する患者さんは確かにいらっしゃいます。血管障害など複数の身体的要因が考えられるほか、ストレスによるメンタル不調、うつなど心理的要因、また在宅ワークなど環境要因も関係しているのでしょう」
感染後にEDになった場合は、慌てずにしっかり治療することが肝心だ。
「通常バイアグラなどの薬は、性行為の1時間ほど前に服用する方法が一般的ですが、低用量タダラフィル(5ミリグラム)を1日1回定時で毎日服用し、日常から血液循環を促すことで、機能回復が期待できます」(布施院長)
一方、感染中の珍しい事例も明らかになっている。20年夏にフランスでコロナに感染した男性が集中治療室に収容され、人工呼吸器を装着したまま、意識とは無関係に4時間以上勃ち続ける「持続勃起症」を発症していた。あまり聞き慣れない事例だが、布施院長はこう説明する。
「極めてまれなケースですが、コロナ感染により持続勃起症を発症した症例報告はあります。コロナに感染したことで血栓が形成されて血流を阻害し、充満した血液が抜けなくなり、勃ちっぱなしの状態になったようです。血液吸引や抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)で治療したようですが」
不謹慎な話ではあるが、勃ちの悪くなった本誌記者にしたら、コロナから回復後もバイアグラを飲まずにギンギン状態が続いていれば、ベッドインでもう一勝負してみたいという気にも‥‥。
だが、残念ながら志賀医師はヨコシマな期待を一刀両断する。
「病名だけを見て勘違いされますが、一見、勃ってはいますが、硬くなっていないし、全然使い物になりません。血管が詰まると局所に流れ込んだ血液が戻らずに痛みを伴うので、性行為をしている場合ではないでしょう」
淡い思いがツユと消えたところで、コロナ感染時に覚えておきたい下半身対策があるという。
「感染者が高熱を発し、その状態が何日間も続くと、男性器にとっては非常にマイナス。コウガンは陰嚢という袋に包まれていますが、体温より2〜3度低い状態で保たれていて、高熱になると精の製造が弱くなってしまうのです。コウガンを温めるとEDを引き起こすこともあり、できればブリーフを脱いで下半身はすっぽんぽんでいたほうが、コロナから回復後のダメージは少ない」(志賀医師)
アメリカの病院では精巣にコロナウイルスの粒子が潜んでいるのが発見され、精の質が低下していたことも報告されている。もしかしたら温めたことが影響していたのだろうか。
そのほかにも、コロナの後遺症は、テストステロン(男性ホルモン)の低下による精力減退や不感症になった事例もあった。ともあれサイズダウンは男の沽券にかかわる一大事。オミクロン株の脅威から下半身を徹底ガードすることを心がけたい。
*「週刊アサヒ芸能」2月3日号より