第100回「凱旋門賞」は波乱含みの大激戦(2)アダイヤーは強い。初舞台も不安ナシ

 強力な外国勢でまず気になるのは、英オークスで史上最大の16馬身差をつけて圧勝した、ディープインパクト産駒のスノーフォールだ。

「愛オークスでも過去100年で最大となる8馬身半差で勝利しましたが、前哨戦のヴェルメイユ賞で2着。デットーリ騎手は『ペースが流れず、瞬発力勝負になってしまった』と話していましたが、今回のメンバーほど骨っぽい相手ではなかった。ここは試金石。人気なら狙いを下げたいですね」(秋山氏)

 そのスノーフォールを名手ペリエとのコンビで破ったのがティオーナだった。

「ようやく力を出し切れて重賞初勝利を収めたという感じですが、同日のフォワ賞より速い流れで入りながら、タイムは遅かった。レース全体のレベルに疑問符も‥‥」(秋山氏)

 祖父ガリレオ以来、20年ぶり史上14頭目となる英ダービーとキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSの同一年制覇を達成したアダイヤーも怖い存在。

「英ダービーをフロック視する声もありましたが、強さは本物です。後肢の感染症でニエル賞は回避となり、陣営が意図していたロンシャンの舞台を経験させることはできませんでしたが、英ダービーもキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSも初舞台を難なくこなしていますから、あまり気にしなくてもよさそうです」(秋山氏)

 ブックメーカーの1番人気で、スミヨンが手綱を取る5歳牝馬のタルナワは、昨年のBCターフでGⅠを7勝しているマジカル、今年のドバイターフを快勝したロードノース、昨年の香港ヴァーズの勝ち馬モーグルといった牡馬の強豪を一蹴しているが、

「前走の愛チャンピオンSは、GⅠ5連勝となったセントマークスバシリカに4分の3馬身差の2着でしたが、ベストの2400メートルより400メートル距離が短く、直線では勝ち馬に外に張り出されてノビノビと走れませんでした。陣営は早くから目標をここに絞って8月から始動。狙いすました感があります」(秋山氏)

 GⅠ3連勝中のハリケーンレーンも3番人気と評価は高い。

「通算7戦6勝で、唯一の敗戦はアダイヤーから7馬身4分の3差の3着だった英ダービーですが、これはレース中に両前肢を落鉄してのもの。パリ大賞で同舞台を経験し、6馬身差で圧勝しているのは心強い材料です」(秋山氏)

 不安といえば、英セントレジャーの勝ち馬が同年の凱旋門賞を制した例がなく、英セントレジャー組の凱旋門賞制覇も77年のアレッジド以来、途絶えていることだ。

「ただ、近年の英セントレジャー勝ち馬では最強レベルの印象。データだけで軽視はしないほうがいいと思います」(秋山氏)

 最後にダークホースとして、昨年の英牝馬2冠のラブの名が挙がった。

「当時の勢いはないものの、前走の牝馬限定GⅡ戦のブランドフォードSで短アタマ差の2着。明らかに凱旋門賞に向けた叩き台でしたし、勝ち馬はGⅢを楽勝してきた上がり馬で、恐らくGⅠ級。それに9ポンド上げてこの差なら連下候補で。ただ、昨年の凱旋門賞は道悪で回避しているように、良馬場でこその馬です」(秋山氏)

 大激戦を制して今年こそ日本勢の悲願達成となるか、大注目だ。

*「週刊アサヒ芸能」10月7日号より

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