第100回「凱旋門賞」は波乱含みの大激戦(1)通算9回目の挑戦となる武豊

 世界最高峰レースのGⅠ「凱旋門賞」が10月3日、パリロンシャン競馬場で開催される。日本からは宝塚記念を連覇したクロノジェネシス、春の天皇賞2着馬のディープボンド、そしてレジェンド・武豊(52)が名匠A・オブライエン調教師とのタッグで挑む。

 今年で100回目を迎える記念すべき大会だけに、豪華な顔ぶれがそろった。夕刊紙「東京スポーツ」でコラム「海外競馬解析」を執筆する競馬ライターの秋山響氏によれば、

「ズバ抜けた感じの馬はいませんが、かなりの強力メンバーです。上位陣はハイレベルで拮抗しています」

 英国ブックメーカー「ウィリアムヒル」のオッズ(9月24日時点)を見ても単勝7倍以下が4頭、次いで日本馬のクロノジェネシスが10倍で続き、混戦ムードが漂っている。

 昨年、5番人気のソットサスに◎を打ち、3連単10万円馬券を的中させた「スポーツ報知」レース部の牧野博光デスクは、クロノジェネシスを対抗に推す。

「日本馬は過去27頭参戦していますが、3着以内に入った延べ5頭(ディープインパクトは失格)のうち3頭は、クロノジェネシスが連覇した宝塚記念を制しています。父は凱旋門賞馬のバゴ。荒れ馬場だった昨年の宝塚記念では2着馬に1秒差をつけていますし、馬場適性の心配はなさそう」

 不安があるとすれば6月末の宝塚記念以来、約3カ月ぶりの実戦になる点か。1世紀に及ぶ長い歴史の中でも「前走が6月だった凱旋門賞馬は、1946年のカラカラまでさかのぼる」(秋山氏)そうで、前哨戦を使わずに直行するのは珍しい形と言える。

「ただ、08年の3着馬ソルジャーオブフォーチュンが6月29日のサンクルー大賞からの参戦だったように、好走している馬もいます。今回の直行プランにしても自然体なんですよ。凱旋門賞だからと、特別のことをしたくなかった。斉藤崇調教師は『回数を使いたくなかったし、詰めて使ってもいいことがなかったですから』と、前哨戦を使わないことに迷いはありませんでしたね」(牧野氏)

 陣営は昨年の有馬記念制覇後、程なくして凱旋門賞を目標に定めたという。

「だからこそ、初の海外遠征となった3月のドバイシーマクラシックで、今回と同じ直行パターンを経験できた。この時も有馬記念以来となる3カ月ぶりの実戦で、本番の10日前に出国。結果はクビ差の2着でしたからね。今回はその経験が生かされると思います」(牧野氏)

 凱旋門賞では異例の「破天荒作戦」だが、国内の最終追い切りも順調に終え、9月24日に決戦の地に飛び立った。

 一方、前哨戦で同じ舞台のフォワ賞を逃げ切ったディープボンドは、キズナ産駒初のGⅠ勝利に挑む。

「1週前の追い切り後、大久保調教師は『疲れはなく、いい状態をキープしています』と納得の表情でした。もし前走と同じような展開になればマークは薄いでしょうから、馬券圏内の可能性はあると思います。通算9回目となる武豊騎手は、A・オブライエン厩舎のジャパンかブルームに騎乗しますが、印は回りませんでした」(牧野氏)

*「週刊アサヒ芸能」10月7日号より。(2)につづく

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