新型コロナ「ワクチンなんもしない人」の仰天主張(3)北京五輪後に感染爆発も

 他方、自由主義国と違い、ロシアや中国などの独裁国家では、コロナ封じ込めに成功しているようにも見える。中でも、極端な水際対策で「ゼロコロナ」を目指すのは中国だ。

「大型団地で一人でも感染者が出れば、その日のうちに周辺のオフィスビル含めて封鎖する徹底ぶり。7月に南京市でデルタ株が流行した時にも、全市民約930万人を対象にしたPCR検査を4回実施。感染者を割り出して隔離することで、流行を防ぎました」(科学ジャーナリスト)

 そんな難攻不落の大国にも弱点がある。

「〝ウィズコロナ〟への対応がゼロなんです。まず国産ワクチンは、デルタ株への高い有効性は担保されていません。そのため、副作用の少ない不活化ワクチンなので、3〜4回目を打って迎え撃つつもりかもしれません。しかし、その効果が芳しくなければ、来年の北京冬季五輪の終了後に封じ込めの反動で、感染爆発を起こす可能性があります」(上氏)

 習近平国家主席による徹底したコロナ対策もワクチンなしでは、抑え込みができないことは自明の理と言えよう。

 その点では、国産のワクチン「スプートニクV」の製造・生産に世界でも最速で成功したロシアはどうか。新規感染者数こそ緩やかに減少中ながら、7月6日から連日700人以上の死者を出しているという。その原因が、世界でも屈指の低さであるワクチンの接種率だ。接種率が30%に満たないのは、その根底に、プーチン政権に対する不信感があるからだという。医療ジャーナリストの村上和巳氏が解説する。

「国策会社が開発したワクチンを信用できないのです。タイプはアストラゼネカ社製と同じウイルスベクター型で、免疫反応を抑えるために、1回目と2回目の接種で異なるアデノウイルスを使用します。そのため、有効性はアストラゼネカ製の70%を上回る約90%とも言われている。それでも、薬品工場の衛生面や無毒化したウイルスベクターの製造管理法などが不明で、一部には安全性を疑う声もあるのです」

 日本でもワクチンの副反応を巡り、接種に消極的な国民も少なくないが、ロシアともなれば、その割合がいかに多いか、容易に想像できよう。

「政府はキャンペーン策として、ワクチン接種と引き換えに金券を配ることで、接種率を押し上げました。ただし、『スプートニクV』の製薬会社がSNSアカウントで行う、欧米の製薬会社が提供している『mRNAワクチン』へのネガティブキャンペーンは逆効果だった。かえって不信感を深めただけでした」(医療雑誌編集者)

 いずれにせよ、日本の緊急事態宣言の長期化は言うに及ばず、世界的にもロックダウンなどの強制的な命令でコロナを封じ込めるという政策はそろそろ限界を迎えているようなのだ。

「ヨーロッパでのサッカーや大規模コンサートでの観客の騒ぎっぷりを見てわかるように、もはや国民に我慢を強いるのは難しい。ワクチンのおかげで重症者や死亡者のリスクが格段に減りました。欧州各国は経済活動と天秤にかけて、感染者増加はやむなしと考えたのかもしれません」(山田氏)

 世界中に蔓延る「コロナなんもしない人」によって状況は悪化の一途。もはや、コロナを終息させる手立てはないのか。

「医療界ではワクチンを打たない人が一定数いるのは織り込み済み。スイスのロッシュ社をはじめ、コロナ治療薬の開発は進んでおり、年内をメドに国からの承認が下りる見込みです。ワクチンと治療薬の二本立てで、コロナを季節性のインフルエンザと同等の扱いに格下げできると思われます」(上氏)

 だがその一方で目下、警戒レベル急上昇なのが、12番目のギリシャ文字があてがわれた「ミュー株」だ。上氏が指摘する。

「7月末から8月にかけてベルギーの高齢者施設でクラスターが発生しました。しかも、2回目のワクチン接種済みの感染者21人中7人の命を奪いました。南米のコロンビア由来で、感染力の強いイギリスのアルファ株が持つN501Yと免疫やワクチンの効果を低下させるE484Kの性質があり、非常に危険なポテンシャルを持っています。今のところ流行は確認していませんが、ベルギーのような先進国で死亡事例が確認されただけに、すでに世界中で感染が拡大している可能性も否定できません」

 辛抱の日々はまだまだ続く‥‥。

*「週刊アサヒ芸能」9月123日号より

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