「この2人がおっしゃっていることというのは、国民にまっとうな医療体制を供給しませんよというメッセージだと思う。こういう人たちに国を任せては国民の命は守れませんから、2人とも至急お辞めになった方がいい!」
TBS系報道番組「Nスタ」に出演した、インターパーク倉持呼吸器内科院長の倉持仁氏が、「コロナ患者の入院対象を重症者らに限定し、重症化リスクが低い中等症患者は自宅療養とする」という政府の方針転換を受け、菅義偉首相と小池百合子都知事に対し、名指しでレッドカードを突き付けたのは、8月3日夕方のこと。倉持医師はコロナ治療の最前線で闘ってきた医師の一人だが、都内の医療従事者も怒りを込めてこう語る。
「ではなぜ、抗体カクテル療法を特例承認したのか、という話です。抗体カクテル療法は軽症・中等症の患者さんを重症化させないように使うもの。軽症・中等症患者を自宅療養にすると、せっかくの新しい薬も使えないのです。そもそも肺炎症状のある中等症患者を自宅療養させるなど、狂気の沙汰といっていい。倉持先生に限らず、コロナ治療にあたっている医療従事者は皆、同じ気持ちだと思いますよ」
連日の感染者拡大で、医療崩壊寸前にあるにも関わらず、具体的な対策を取らない政府。毎日オリンピックに興じる菅政権、小池知事の姿に国民がいらだちを募らせる中、さらに国民感情を逆なでしたのが、自民党の二階俊博幹事長が記者会見で放ったKY発言だった。
記者から、菅義偉首相の任期満了(9月30日)に伴う総裁選について問われた二階氏は、「現職が再選される可能性が極めて高い。誰もが承知していることだ」として、「総裁がしっかり頑張っておられるわけでありますから、総裁を代える意義は見つからない。むしろしっかり続投していただきたいという声の方が、国民の間にも党内にも強いんではないかと判断をいたしております」とのたまったのだ。
すると、当然のことながらSNS上には怒りの声が続出。《このコメント、トンチンカン過ぎて凡人には理解出来ないよ》《その国民の中に私は入ってないんだけど!》《ご自分の立場を死守するためには、国民の声などどうでも良いと考えているとしか思えない》《国民を馬鹿にした発言だ!》《もはやこの方々は、幻聴が始まっているのではないですかね?》《73歳定年制を厳守せよ》といったコメントが溢れた。
全国紙の政治部記者が語る。
「二階氏の口からこうした発言が出るのも、結局は菅首相の代わりとなる有力な総裁候補がいないからなんです。一時『ポスト菅』として有力視されていた岸田文雄前政調会長も、お膝元の参院広島選挙区再選挙で支援した新人が敗北したことで、『選挙に弱い』『地元ですら勝てない』という評判が強まり失速。前回の総裁選でこの2人と戦った石破茂元幹事長も、自らの派閥・水月会の会長を辞任、派閥の維持すら見えない状況です。そうなると、結局『ポスト菅』は菅首相ということになってしまう。それがわかっているからこそ、こういった発言が飛び出してしまうのですが、二階氏にしてみればそれが”菅・二階“の長期政権になるわけですからね。まさに永田町は魑魅魍魎ということです」
二階氏の発言を受け、倉持医師は自身のツイッターを更新、《何を言っているのでしょうか? 2人でどこか違う国へ行って永遠にやっていれば良いと思います。ちなみにその国には国民はいません。不要》とバッサリと切り捨て、賛同の声が上がったことは言うまでもない。
(灯倫太郎)