コンビニで立ち読みを咎めて大ゲンカ!傷害男が法廷で明かした犯行理由とは?

 コンビニで男が男性客の立ち読みを咎めたことで、つかみ合いの大ゲンカに発展。客にケガを負わせて傷害容疑で逮捕されるという事件が起きた。店員でもないのに、なぜ立ち読みを注意したのか…。裁判の模様をお笑い芸人で裁判ウォッチャーの阿曽山大噴火がリポートする。

 罪名は傷害。被告人は会社役員の男性(30代)。

 起訴されたのは、去年7月に東京都内のコンビニ店内で被告人が被害男性(40代)の胸ぐらをつかみ商品棚に押しつけて加療1週間のケガを負わせたという内容。

 検察官の冒頭陳述によると、被告人は大学中退後に飲食店を開業して、現在も変わらず経営しているという。

 犯行当日、被告人はコピー機を利用するためにコンビニに入店。その際、真横で雑誌を立ち読みしていた被害男性に対し、個人情報が入った書類をコピーするのでその場から離れて欲しいとお願いしたところ、これがきっかけで口論になり、犯行にいたったというのが事件の流れです。

 コンビニでコピーしてるものを覗いたりしませんけどねぇ。言い掛かりのような気もするけど…。

 現場がコンビニなので防犯カメラの映像が存在するわけです。ということで、法廷の壁に掛けてある大きなモニターで上映することになりました。

 映像はコピー機の斜め上に設置された防犯カメラがとらえたもので、立ち読み中の被害男性の隣にやって来た被告人が小声で何かを話しかけるところから始まりました。被告人に注意されて背中を向ける被害男性。すると被告人は何か大声で文句を連発。音声が割れてて何を言ってるのかはハッキリ聞こえないんだけど、立ち読み禁止なのに堂々と読み続けるのが気に食わないのか、被告人が烈火の如く怒り始めたのです。

 被害男性も何かを言い返すと、被告人が被害男性の胸ぐらをつかんで押し問答に…。店員が仲裁に入ろうとするも、異様な雰囲気で近づけず…。被告人が被害男性を商品棚に押しつけ、さらに床に倒して馬乗りになり「どっちが間違ってるかわかるか!どっちだ?」と何度も何度も問い詰めていると警察官がやって来て…と、映像はここでおしまい。途中早送りしてたけど、営業中のコンビニ店内で5分くらい揉み合ってたらしいです。起訴状の内容よりもやや激しい印象を受けます。そして被告人質問。まずは弁護人から。

弁護人「なんでこんなことになったんでしょう?」

被告人「自分自身も怒って、被害男性も怒ってらっしゃったので」

弁護人「加療1週間のケガを負わせてますけど痛めつけてやろうと思ったんですか?」

被告人「押してきたんで抑えつけようとしただけですよ。自分は“元プロ”なんでケガさせようと思ったらこんなんじゃ済んでないっスよ」

 本気出したらまだまだやれたとアピールです。「…ってか何のプロなんだ?」と気になって後で検索してみたら、とある格闘系スポーツで活躍していた人物のようです。プロって自分で言うくらいですから強いんでしょう。

弁護人「あなたはケガしなかった?」

被告人「首の方、全治2週間です。こっちもケガしてんスよ」

 被告人もただでは済まなかったという主張です。罪は認めてるけど喋り方でいまだに納得いってない感じが伝わってきます。

弁護人「もう同じことはやりませんね?」

被告人「もう、そういう人には接しません!面倒なことになるんで!」

 イライラした感じで弁護人からの質問は終了。続いて検察官からの質問。

検察官「ソフトな言い方でお願いすれば良かったとは思いませんか?」

被告人「自分ではソフトだと思ってます」

検察官「つかみかかる程のことじゃないですよね?」

被告人「そこは反省してます、先に手を出したので」

 すると被告人のふて腐れた様な態度が気になったのか、ストレートな質問を繰り出したのです。

検察官「今振り返って、どっちが悪いと思ってるんですか?」

被告人「先に手を出したんで自分が悪いと思っています。でも一番は店員が悪いんじゃないですか? 今は給付金とかでコピー機使う人も多いのにあの配置はないでしょう。そして1人しか通れないところで揉み合ってるのに仲裁にも来ないし」

 なんと、トラブルの責任を店員になすりつけ。

検察官「怖くて仲裁できなかったのではないですか?」

被告人「それは仕事なんだからやらなきゃダメでしょう」

 なぜか他人事のように分析する被告人。

検察官「反省してる?」

被告人「反省はしてますけど、お互い様だと思ってますよ、こっちもケガしてるんで!」

 反省ってどういう意味だっけなぁと調べたくなる質疑応答でした。この数分後に判決が言い渡されて、結果は罰金20万円でした。

 いや〜法廷がピリピリしてたなぁ。というのも傍聴席に被害男性が座ってたもんでね。

阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)

大川興業所属のお笑い芸人であり、裁判所に定期券で通う、裁判傍聴のプロ。裁判ウォッチャーとして、テレビ、ラジオのレギュラーや、雑誌、ウェブサイトでの連載多数。

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