有料レジ袋に舌打ち、逆ギレ…スーパー店員が直面した驚愕“レジハラ”実例

 新型コロナ感染拡大防止策と、今年7月にスタートしたレジ袋有料化が、小売業の現場に混乱を招いている。中でも突出して被害を受けているのが、スーパーやコンビニのレジ係である。業務の煩雑化にくわえ、客によるレジ打ち店員に対する横暴な言動、いわゆるレジハラも横行している。今回はそのレジハラが原因でバイト先をやめたという女性に話を聞いた。田辺優子さん(仮名・千葉県在住・26歳)。

「学生時代からやっている演劇を続けていくため、大学卒業後も就職をせずバイト生活を送ってきました。劇団活動の他、演劇のワークショップに通ったり、ボイストレーニングをしたりしていました。スーパーでのバイトは事情を話した上で始めたので、シフトや長期の公演での休みなど調整してくれました。一緒に働いている主婦の方たちも応援してくれて…とても気に入っているバイト先だったんです」

 だが、そのアルバイト先に大きな変化が訪れた。

「もちろんコロナ禍が起きてからはものすごく大変でしたよ。でもバイト仲間たちとの連帯意識もあって頑張ることができたんです。問題はレジ袋有料化ですね。結論から言うと、ビニールシートとマスク越しのレジ袋の有無の確認は、“無理ゲー”です。バイトで一番年上の主婦の方なんかは、『レジ袋有料になりますが、おつけしてよろしいですか?』って聞いて、客が『大丈夫』って答えると『つけて大丈夫なんだ』って思っちゃうでしょ? そしたら『エコバッグ持ってるから大丈夫なんだよ!』なんて怒鳴られて、レジで袋の料金を取り消したりとかてんやわんやですよ」

 当の優子さんも身をもってレジハラを体験することになる。

「私は横柄なオジサンが無理。前のオバサンがエコバックに詰めるのモタついてると、舌打ちしたり。マスクの中でモゴモゴ言ってて、聞き返すと『要・ら・な・い!』とかキレるし。はっきりしゃべれんなら、最初から言えって(笑)。毎日そんなのばかり。精神的な負担も圧倒的に増えたし、何より人格を無視されている感じがキツかったですね。これで時給1000円とか、ないな〜って」

 馴染み深かったアルバイトをやめて、新しくついた仕事が性産業だった。

「いまの状況で、融通の効くバイトを見つけるのは難しいと判断しまして、ピンク産業を選びました。この仕事はじめて、一番最初に感じたのが『きちんと求められてる』って感覚です。お客さんに癒されてます(笑)。レジ打ちよりもぜんぜんマシですよ。あのままレジハラを受け続けてたら、心がパサパサになって、演劇を続けるのも無理だったかなって思います」

 コロナ禍で人々の心が疲弊していく中、最低限の社会モラルが問われている。

(オフィスキング)

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