セブン・イレブン、ファミリーマート、ローソンの3大チェーンの店舗数が突出して多いコンビニ業界。その牙城はあまり高く、地方で展開するご当地コンビニでは、北海道などで展開するセイコーマートが地域1位のシェアを誇っているが、これはレアケース。それ以外は後塵を拝しているのが現状だ。
そうした中、3月12日には関西のご当地コンビニとして知られる「アンスリー」が全店舗閉鎖することに。97年、京阪電気鉄道と南海電気鉄道、阪神電気鉄道の関西の大手私鉄3社による共同出資でコンビニ業界に参入。駅ナカを中心に一時は90店舗近くまで増やしていたが、わずか4店舗にまで激減している。
「鉄道系コンビニという括りで見てもJR東日本の『NewDays』の独り勝ち状態。以前は首都圏や関西の私鉄各社、他のJR各社も自社ブランドのコンビニを構えていましたが、ほとんどが撤退、または縮小しています」(流通業界誌記者)
今回撤退するアンスリーにしても08年の阪神・阪急の経営統合後は、阪神各駅にあった店舗が事業移管。別チェーンの鉄道系コンビニを経て、現在はローソンに転換。南海も業務提携先のセブン・イレブンへの転換が進み、23年1月までに全店が閉鎖されている。
「大手コンビニに転換してフランチャイズ店舗として経営したほうが運営コストも抑えられ、利用客にとっても誰もが知っている名前なので安心感があります。経営判断としては当然のことです」(前出・記者)
さらに3社の共同出資でスタートしたことも規模縮小の末に撤退を招いた大きな要因だと指摘する。
「3社の思惑が異なるから結果的に足並みが乱れ、阪神と南海が離脱し、最後まで残っていた京阪のみという状況を招いてしまいました。例えば、3社で新会社を立ち上げ、各社の思惑に左右されない形での運営だったら違った結末になったかもしれません」(前出・記者)
特に京橋駅構内の「アンスリー京橋ホーム大阪方店」は、昨年2月放送の「マツコの知らない世界」(TBS系)で、同店で販売するフランクフルトが絶品と紹介されて以来名物に。ネット上では閉店とともに名物メニューの消滅を惜しむ声が多かったが、鉄道系コンビニの業界再編という流れに贖うことはできなかったようだ。
※画像はアンスリー京橋ホーム大阪方店