「モスバーガー」総額表示に伴う“値上げ”のウラに驚異的な好業績

「『モスバーガー』を展開するモスフードサービスは、4月からの総額表示義務化に伴い、イートインとテイクアウトの価格を統一する価格改定を実施すると発表しました。これにより、一部値下げとなる商品もあるのですが、全メニューの6割が値上げとなることが明らかとなり、再び客離れが起こる可能性を指摘する声が出ています」(フードライター)

 報じられたところによれば、新型コロナウイルスによるテイクアウト需要が増すなか、無料で提供している包材費の負担が大きくなった影響があるといい、看板メニューである「モスバーガー」は現行イートイン377円、テイクアウト370円が、4月1日より双方390円になるなど、主力商品としては約6年ぶりの値上げに踏み切ったという。
 
 総額表示義務化を巡っては「ユニクロ」と「ジーユー」が12日から商品本体価格をそのまま税込み価格にしており、実質9%の値下げに踏み切っている。そんなことからモスの価格変更にネット上では、《総額表示を体の良い値上げの言い訳にされている気がする》《今でも十分高いのにさらに高くなるのか》《梱包材の負担が大きいなら、テイクアウトだけ値上げすればいいのに。別に統一しなくていい》などの厳しい意見が続出している状況だ。
 
「モスは20年、すべての月で既存店売上高が前年を上回るなど非常に好調で、特に昨年11月は前年比123.5%という驚異的な売上を達成しました。これは他ならぬ新型コロナウイルス感染拡大によるテイクアウト需要によるもので、それ以前は2018年に起きた食中毒による客離れで大きく売上が落ち込んでおり、『創業以来2度目の絶不調』と言われるほどだったのです。モスとしては好調のうちに値上げをしてしまいたい思惑があったと考えられますが、ここ数年は飲食店の値上げに厳しい目を向ける消費者も多く、また現在はテイクアウト需要で伸びている面が大きいですから、緊急事態宣言が解除され感染が落ち着いてきた際には、急速な客離れが起きる可能性も十分に考えられますね」(経営コンサルタント)

 果たして今回の実質値上げは吉と出るか凶と出るか。

(小林洋三)

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