昨年から二度にわたる緊急事態宣言の下、外食産業とりわけ居酒屋などは壊滅的とも言える打撃を受けてきた。では、アルコールを出さないカフェ・喫茶店はどうなのかと言えば、こちらも苦戦が続いている。
「喫茶店のルノアールやカフェ・ミヤマなどでお馴染みの、業界で老舗の銀座ルノアールが先日発表した21年3月期決算予想では、純利益で21億2000万円の赤字を見込むというものでした。同社が赤字に落ち込むのは12年ぶりで、しかも売上高が前期比で49%も減少、純利益は前年が5100万円の黒字だったので、いかに落ち幅が大きいかがわかります」(経済ジャーナリスト)
11年から10年連続で増収を達成してきた同社だが、テレワーク、外出自粛、時短営業の影響は甚大だった。そのため、個人利用のためのビジネスブースを設置したり、八重洲北口店や千駄ヶ谷店といった不採算店を閉店するなどしてきた。
では同業他社はどうかと言えば、店舗数で1位と2位のスタバックスコーヒー、ドトールコーヒーもやはり苦戦している。スタバの19年10月〜20年9月までの決算を見ると、純利益でやはり19億円の赤字、ドトールを展開するドトール・日レスホールディングスの21年3月期の第3四半期決算(20年3〜11月)によれば、ドトールコーヒー部門の売上高は28%減で約19億円の赤字となっている。
「これらの店に共通するのが、駅前や繁華街で出店しているということです。ですから、人の流れが減ればそのまま来店者が減って当然、業績に響きます。またルノアールの場合は、ビジネス街への出店が多く、事実、商談や打ち合わせで使われることが多いからなおさらテレワーク化による影響は大きい。また、セルフの要素がないフルサービスの接客が売りなので、接触が嫌われたこともあるでしょう」(前出・ジャーナリスト)
そうして業界全体が落ち込む中、名古屋発祥で全国区では後発のコメダ珈琲店が「独り勝ち」とも呼べる健闘を見せている。21年2月期の数字で、連結純利益は約30%以上落ち込んだものの、営業利益は50億円以上と、黒字はきっちり確保している。
「コメダ珈琲店もルノアールと同じフルサービス型のサービス展開をしていますが、出店先はロードサイドや商業施設などの郊外が多く、繁華街の店も駅近でない上に2階などに出店していて、家賃経費も低く抑えています。また客層も、スパゲティやハンバーガーなど食べ物も充実しているためファミリー層が多く、コロナの影響を受けにくい営業戦略が奏功していると言えるでしょう」(前出・ジャーナリスト)
名古屋と言えば喫茶店文化の土地。コメダ珈琲店のメニューを見ると、ご当地のB級グルメのあんかけスパもあれば、えびふりゃーの大皿プレートにお子様向けのサンドイッチプレートもある。喫茶店を存分に楽しむという名古屋文化だからこそコロナにも強かった!?
(猫間滋)