喫茶店の「廃業」が過去最多に…コロナ拡大より深刻な“諦め要素”とは

 東京商工リサーチは21年の「喫茶店」の休廃業・解散と倒産を合わせた件数が161件となり、過去最多を記録したとの調査結果を発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響も大きいが、専門家によれば喫茶店にはもう一つ深刻な問題があるという。

 同調査によれば、喫茶店の休廃業・解散は100件で前年比+26.5%と大幅に増え、倒産は感染防止協力金が給付された影響もあって前年比-8.9%と減少したものの61件と高水準にあり、多くの店の灯が消えたことが明らかとなっている。喫茶店はコロナの他にコーヒーチェーンの隆盛の影響もあって苦戦が続いているが、「後継者いない」問題も見過ごせない状況になっているのだとか。

「同じく東京商工リサーチの調査では、21年に後継者難による倒産件数が381件となり、調査を開始した13年以降で過去最多を記録したことも明らかになっています。このうち、産業別では飲食店を含むサービス業が最多の約2割をしめているのです」(経済ライター)

 その中でも特に喫茶店は後継者難で店を閉めることが多くなりがちだという。

「喫茶店は開業資金が比較的安く、長い修行期間を経なくても始められることから、脱サラや定年退職後の第二の人生として選ばれることが非常に多いのです。こうしたケースの場合、子どもはすでに就職していたり、個人や夫婦で経営することも多い。始めてはみたものの想像以上に客単価が低く、近場にコーヒーチェーンがある環境の場合、後を継いでくれる人もいないことから早々に店を畳んでしまうパターンがあるようです」(前出・経済ライター)

 団塊の世代も70代になり、諦める経営者は今後も増えそうだ。

(小林洋三)

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