個人経営の喫茶店の倒産が急増しているという。
東京商工リサーチの調べによれば、2019年1-8月累計の「喫茶店」の倒産は42件で、前年同期比で35.4%増と大幅に増加。また、全日本コーヒー協会が公開している「喫茶店の事業所数及び従業員数」によれば、喫茶店の数はピーク時だった1981年の15万4630件から2016年時点で6万7193件へと、実に半分にまで減っているのだ。
「喫茶店が激減しているといっても、需要自体はむしろ増えています。『フードサービス協会』の調査では、18年の喫茶店の市場規模は1兆1645億円と他の外食産業を比べても伸び率は高く、また『全日本コーヒー協会』によれば、同年の国内のコーヒー消費量は47万213トンとこちらも年々増加傾向にあるのです」(フードジャーナリスト)
個人経営の喫茶店が窮地に立たされている原因としては、コンビニコーヒーの台頭によるところが大きいとされる。淹れたてのコーヒーがわずか100円程度で飲めるとあって、13年に大ヒット。そこから成長を続け、18年には年間17億杯を売り上げたとも言われている。
「他にも、喫茶店の利用方法の“変化”が、個人経営の店に大きな影響を与えていると考えられます。日本で最初に喫茶店ブームを巻き起こした“銀ブラ”という言葉がありますが、これは『銀座でブラジルコーヒーを飲むこと』を意味しており、あくまでコーヒーが主役でした。ところが、現代の喫茶店をくつろぎの場所として考える人が多く、安いコーヒー1杯で長時間パソコン作業をしたり、友人と語り合ったりすることに主眼が置かれている。そうると、ますます個人経営の喫茶店には厳しいと言わざるを得ないでしょう」(経営コンサルタント)
コーヒーにこだわる店ほど、窮地に立たされる状況なのかもしれない。
(小林洋三)