カフェ店員が見たテレワーク客の迷惑行為「隣の客にビジネス用語でマウント」

 新型コロナウイルスの感染拡大による影響で社会のテレワーク化が進み、最近はカフェなどで仕事をするノマドワーカーも増えた。その影響か、カフェ業界の業績もコロナ禍の落ち込みから復活しつつある。

「V字回復が報じられたのは『珈琲所コメダ珈琲店』を展開するコメダホールディングス。10月の既存店売上高は前年同月比101.6%で、緊急事態宣言下の4月の53.1%から大幅に売上を伸ばしています。復活の理由としては人出が少なくなった都心ではなく、郊外のロードサイド店が多いことが挙げられますが、1人あたりの客席スペースが大きく、コンセントやWi-Fiを無料提供することで、テレワークの需要にうまくマッチしたとの見方ができます」(経済誌記者)

 テレワーク需要を取り込む一方で、マナー違反の客も目立つようになったという。

 東京都内で個人経営のカフェを営む男性(53)は、「マナー違反の客は、基本的に自分を客観視できておらず周囲への配慮も欠けています」と指摘する。具体的な事例を見ていこう。

「まず一番の迷惑は長居するお客。コーヒーの単価を少し考えれば、店がどういう状況になるか分かるはずなのに、彼らは1杯で何時間でも居座ります。せめて1時間に1杯は頼んでほしい。もしそれが難しいのならコワーキングスペースとかに行けばいいのですが、おそらくお金をかけたくないのでしょう。そういうお客の多くは店が混んできても一向に気にする素振りも見せず、なぜか空いてきたら帰るんです。あと、勝手に店のコンセントで充電しながらパソコン作業する人もいますね。あとは、1人で来たのに4人掛けのテーブルに座ったり、混んでいるのに荷物を隣の席に置いたりとか…。また、パソコンのタイピングでわざと“ターン!”と大音量で鳴らす人も。自分に酔っているような雰囲気ですかね」

 都内の繁華街にあるカフェチェーンの女性店員(30代)も迷惑客に頭を悩ませている。その店では「電話」によるトラブルが後をたたないとか。

「うちの店には、パソコン仕事だけではなく電話するお客もいますが、長時間の打ち合わせなどは他のお客の迷惑になるので正直やめてもらいたいです。中にはアポどりとかモロに電話仕事をしている人もいました。おそらく会社支給のガラケーから3時間くらい延々アポしていたので、さすがにご退店していただきましたが…」

 そんな中でも特に目につくのが、難解なビジネス用語の多用による“マウンティング行為”だという。

「この前来た女性は、電話で部下らしき人に厳しい口調で『それはオポチュニティロス(※1)だから』『それ、ローンチ(※2)しといて』と、さも周りのお客に聞いてほしいと言わんばかりに大声で指示していました。隣の客へのマウンティングのつもりなのでしょうか…。本人も意味をわかって使っているのかは不明です(苦笑)」(前出・女性店員)

 中には常軌を逸した客もいるようだ。

「テレワーク化の流れを受けてか、最近は特殊な職業の人たちもカフェで仕事するようになったようです。一見スーツを着てエリートっぽい男性がパソコン作業をしていたのですが、モニターには債権者リストのようなものが映っていて、電話でも『利息だけでも入れたほうがいい』『親のとこに行くぞ』など明らかにアウトロー系のやりとりをしていたことも」(前出・女性店員)

 程度の差はあれ、知らず知らずのうちに自分が“モンスター客”になっていないか今一度チェックしてみよう。

(橋爪けいすけ)

※1 オポチュニティロス〜「オポチュニティ」とは「機会」「チャンス」。この場合はチャンスを逃すという意味に

※2 ローンチ〜「新しく始める」の意味。おもに新サービスの立ち上げなどを示す

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