また、お笑い中国とでも言うべき珍事が起こった。
それは9月27日のこと、中国において来年に延期となった東京オリンピックの予選を兼ねた全国水泳選手権大会が行われたのだが、予選で1位になった選手が決勝に進めないという事態になったのだ。
女子1500メートルの自由形、遼寧省出身の弱冠18歳の王簡嘉禾選手が15分45秒59というアジア新記録を樹立。2位になんと29秒差だったというからどれだけぶっちぎりの勝利だったかもわかろうというもの。それでも決勝には進めなかったのだ。
「アメリカの中国メディアが伝えたところによれば、理由は体力テストの結果が芳しくなかったからだそうです。大会規定では、『予選上位16人のうち、体力テストの上位8人が決勝に進む』とあって、王選手はこの8人に漏れてしまっていたのです」(スポーツジャーナリスト)
つまり中国の代表選考基準に基づいたこの大会では、予選で上位になり、なおかつ体力テストでも上位に入らないと決勝には進めないことになっており、いくら水泳のタイムがよくても大会で優勝はできないというのだ。これにはさすがに中国国内でも問題になっているという。さて問題視された体力テストの中身とは…。
「30メートルダッシュや懸垂、ベンチプレス、スクワット、3000メートル走などの10種目があるそうです。王選手は2018年のアジア競技大会で2個の金メダル、2019年の世界水泳ではやはり1500メートルで銅メダルに輝いた新鋭ですが、いかんせん18歳。体力的に劣るのは仕方のないことだと思うのですが…。ほかにも陸上、バレーボール、バドミントンなどの競技でも同様の方式が取られているとか」(前出・スポーツジャーナリスト)
中国では水泳で代表になるには、陸上の10種競技のようなトレーニングも必要らしい。才能溢れる若い芽を摘むとは、まさにこのことかもしれない。
(猫間滋)
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