小中高校は5〜6月からの休校の解除に合わせて対面授業が再開されたが、大学はその後もオンライン講義を継続。今春に入学した1年生がキャンパス内に入れない状況が続いていた。
ここに来てようやく対面講義を再開する大学が増えたとはいえ、小中高校も含めて今後のコロナをめぐる状況次第では再び休校の可能性も十分ありうるだろう。そうなればまた休校措置やオンラインでの授業・講義に戻ることになるが、これに戦々恐々としているのが現場の教員たちだ。
日本労働組合総連合会(連合)が2018年に行った「教員の勤務時間に関するアンケート」によると、月〜金曜の週5日間の勤務時間の平均は52.5時間。公立学校の教員の勤務時間は1日あたり7時間45分となっているが、実際には10時間半と、1日あたり2時間45分の超過勤務を強いられていることになる。
しかも、若い教員ほど勤務時間は長く、20代の平均は週56.4時間で1日なんと11時間以上。実際、学校で仕事が終わらずに自宅に持ち帰って作業を続ける教員も多く、ブラック企業顔負けの労働環境といってもいい。
また、学校別では中学校の教員の労働時間が56.5時間と最も長い。なかでも週70時間以上と答えている教員が13%もいるが、もしオンライン授業が再開となれば労働時間がさらに増えるのは確実だ。
「通常の授業の倍以上、準備に時間がかかる」(36歳・公立中学校教諭)
「オンラインだと画面で図や表を見せなければならず、パワーポイントで作成しているがプリントを作るよりも面倒」(41歳・公立小学校教諭)
オンライン授業・講義については、今回話を聞いた教員ほぼ全員が「通常の対面形式よりも大変」と回答。特に年配のベテラン教員になると操作に不慣れな者も多く、「オンライン授業を行っていた期間は、毎晩遅くまで準備に追われ、カメラ越しの慣れない授業で精神的にも疲れた。あんな思いは二度と味わいたくない」(52歳・私立高校教員)と本音を漏らす人も。
教員の労働時間の長さは以前から問題になっており、それを理由に離職する者も少なくない。もしコロナがこのまま長期化し、オンライン授業が増えれば教員の負担は膨らむばかりだ。
民間企業に比べて、一向に進んでいない学校の働き方改革。一刻も早い対策が必要だ。
(トシタカマサ)
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