新型コロナの緊急事態宣言が解除されて4カ月。自宅待機が解かれてオフィス通勤に戻った会社も多いが、そのままテレワークを継続させている企業も少なくない。実際、都内ではオフィスを縮小したり、契約そのものを解約したりするケースが増えており、空室率が上昇しているという。
一方、社員にとっても「今後もテレワークが続くなら……」と東京を離れ、郊外や地方への移住を検討する20〜30代が急増しているという。
「年齢的に独身者が多く、既婚でも子供がまだいなかったり、幼ければ転校などのデメリットもなく、移住へのハードルは低い。そももそオンライン環境さえしっかり整っていれば田舎でも業務に支障はありませんし、買い物だってネット通販を積極的に活用する世代だから特に問題もない。それに最近はタワーマンションの問題点などがいろいろと報道されて『タワマンには住みたくない』って若者も多い。そういったことを含め、一連のコロナ禍の影響が、移住ブームを一気に押し上げてきたのだと思います」
そう分析するのは、移住サポートなどの支援を行うNPOの代表。移住者受け入れに積極的な自治体は専用の窓口を設けているところが多く、問い合わせ件数が例年に比べて倍以上に増えているケースも珍しくないそうだ。
「移住者に人気でも少子高齢化で過疎が進んでいる町も多いため、自治体にとっても住民を増やすチャンス。また、総務省も移住を後押ししており、よりよいテレワーク環境を提供するために地方への5G導入に向けて整備を行ったり、地元企業とのマッチングによる新たなビジネス創出のための枠組みを作ったりしています」(前出・NPO代表)
ただし、仮に移住をしてもなかにはわずか数年でその地を離れてしまう人もいるとか。
「旅行で遊びに来るのと実際にそこで住んで生活するのとはでまったく違います。田舎であれば都会よりも不便な点は当然ありますし、現地のコミュニティに溶け込むことができるかという問題もあるからです。受け入れに積極的な自治体のなかには短期間の移住体験などを企画している市町村もあります。そういった体験ツアーに参加し、まずはお試しで移住生活をしてみるのも成功の秘訣かもしれませんね」(前出・NPO代表)
後悔しないよう、移住先の選択はくれぐれも慎重を期したい。
(高島昌俊)