100万人がロシアを捨てた!「脱出者の8割が高等教育を受けた若い層」という絶望的未来

 長期化するウクライナ侵攻を背景に、人口流出に歯止めがかからないというロシア。このほどフランスのシンクタンク「国際関係研究所」(IFRI)が、ウクライナ侵攻以降、これまでに100万人以上がロシアを出国したとの試算を発表。これは人口の0.7%程度にあたり、1917年のロシア革命後や、1991年のソ連崩壊後の人口流出にほぼ匹敵する、ロシア史上最大規模なのだという。

「報告書によれば、移住者の86%が平均年齢45歳以下の若い世代で、そのうち80%が高等教育を受けている人々なのだとか。ロシアで高等教育を受けている割合は、全体平均で3割程度ですから、海外移住者の多くが学歴もあり、それなりの仕事に就き、そこそこ収入もある、ロシア経済の中心を担ってきた中間層かそれ以上ということになる。実際、彼らが移住したことで、個人貯蓄の11.5%に当たる約4兆ルーブル(約6兆2200億円)が国外に移転したとの分析もあり、この人口流出がいかにロシア経済の構造そのものに打撃を与えたのかが、数字の上でも明らかになりました」(ロシアウォッチャー)

 分析によれば、移住者の半数以上は、旧ソ連のジョージアやカザフスタン、アルメニア、キルギスといった、ロシア語が通じやすく比較的物価の安い4カ国に集中。ほかにはトルコ、イスラエル、セルビア、モンテネグロなどだとされる。

「ただ、経済的に不安定な国もあり、職種によっては長期的に安定した仕事に就けないため、今後、欧州への移住希望者が増えることは間違いない。EUは現在、ロシア人のビザ取得を厳格化しているものの、今後多くの有能なロシア人が欧州への移住を希望するとなれば、当然、資金流入も急増するため、居住や就労、起業を認める可能性はある。つまり、ウクライナ戦争でロシアを捨てたスキルの高い人材が、今後は欧州でその手腕を発揮することになるかもしれないということです」(同)

 特に昨年2月以降、いちはやくロシアを脱出したのがIT関係者たちだとされ、9月のプーチン大統領による30万人の動員発令で、出国が加速。現在も技術者を中心に頭脳流出が後を絶たないと言われる。

「もちろんIT技術者らの国外脱出は徴兵逃れという側面もありますが、侵攻以来、先進国による制裁が始まり、さらに多くの外資系企業がロシアから撤退したことで、そうした企業に勤めていたロシア人IT技術者が失業を余儀なくされてしまった。そのため、新たな仕事を求めて出国したケースも多いようです」(同)

 欧米メディアの報道によれば、現在までにロシアから脱出したIT技術者は10万人規模で、政府は兵役猶予や優遇住宅ローンの提供などIT人材への優遇策を打ち出しているものの、流出にはまったく歯止めがかからない。今後もこの状態が続けば、もはやロシアのIT産業の将来は望めない、といった絶望的な見方もある。

 たった一人の独裁者、プーチンが犯した過ちにより、まさに崩壊寸前のロシア。救世主が現れる日は来るのだろうか。

(灯倫太郎)

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