新型肺炎騒ぎで“転売ヤー”が在庫だぶつきに苦しんでいた!?

 中国・武漢市を中心とした新型コロナウイルスの流行が、日本にも影響を及ぼし始めている。中国政府は武漢市の封鎖を断行し、駅や空港を閉鎖。その影響で全日空の成田/武漢便は1月24日成田発の便から欠航しており、現時点で31日成田発までの欠航が決定済みだ。

 日本国内には1月25日に始まる春節(旧正月)に合わせて数多くの中国人観光客が滞在中。「日本にいれば安全」といった声が聞かれるなか、繁華街のドラッグストアや量販店ではマスクを買い求める中国人客の姿も目立っている。中国本土では各地ですでにマスクが品薄となっており、中国向けに日本製品を輸出している業者では、倉庫の一角にマスクの入った段ボール箱が山積みになっている状態だ。

 そこで注目されているのが、ネット上で商品を高値で転売する“転売ヤー”の面々。03年のSARS騒動では日本国内でもマスクが品薄となり、1箱500円程度のマスクにネットオークションで数千円の高値が付き、それでもばんばんと売れていたものだ。ところが今回の新型肺炎では、状況がいささか異なるというのである。

「フリマアプリの『メルカリ』ではマスクの出品が増えているものの、なかなか買い手がつかない状態。売れているのは3枚入りなど小さなパック商品ばかりで、紙箱入りの50枚入りパックはほとんど売れていません。出品者のコメントには《値下げには応じません》といった強気の言葉が並んでいますが、定価以上の価格を設定した出品はほぼすべてが未成約のまま。購入希望者からの質問もほとんどなく、供給過剰の状況にあるのは明らかです」(週刊誌記者)

 どうやら高値での転売を当て込んでマスクを買い込んだ転売ヤーは、不良在庫を抱えて苦しんでいるようだ。しかしなぜ、今回の新型肺炎ではマスクが売れていないのだろうか。

「日本では今冬、インフルエンザが流行していることから、多くの家庭ではすでにマスクを買い込み済みなのです。とくに子供のいる家庭では学級閉鎖の話題で持ちきりで、新型肺炎よりもインフルエンザのほうがよっぽど恐れられているのが現実。今になって慌ててマスクを買い込むという家庭は少なく、すでに十分にいきわたっているわけです」(前出・週刊誌記者)

 今なら中国本土や香港にマスクを持っていけば、あればあるだけ売れる状況と言える。しかし転売ヤーはあくまで個人ビジネスなので、現地で商品を売るノウハウがない。その結果、日本国内では売りさばけないマスクの在庫に苦労することになりそうだ。

(北野大知)

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