JRグループの中でも厳しい経営を強いられているJR北海道。11月13日に発表した9月中間決算では、今季パ・リーグ2位と躍進した日本ハムの集客効果に加え、4月公開の映画「名探偵コナン100万ドルの五稜星」とのタイアップ企画キャンペーンもあって道外からの利用客も増加。売上高が前年同期2.2%増(16億円増)の755億円となった。
だが、一方で営業損益は178億円の赤字で、前年より赤字額が3億円膨らむ結果に。純損益も85億円の黒字ながら31億円も減少。つまり、増収増益ではなく増収減益だったわけだ。
鉄道収入は1割近く増えたが、札幌駅前の複合商業施設「札幌エスタ」が北海道新幹線延伸に伴う駅前再整備のために閉館。不動産事業の収入が大きく減り、さらに国からの事実上の補助金である経営安定基金も運用益も目減りさせてしまった。また、資材費の高騰などが重なったため、増収分だけではとても賄いきれないという。
「ただ、赤字路線や利用客の少ない駅を次々と廃止しており、賃金もJRグループ内では最低ランクで早期退職者も多いなど経費の圧縮に努めています。そもそも札幌圏以外に人があまり住んでいない北海道で収益を上げろというのが無理な話なんです」(地元紙記者)
それは理解できるが、30年度開業を目指していた北海道新幹線の札幌延伸はすでに延期となる見通し。一部のトンネルの掘削工事が難航しており、延期になればなるほど建設費用は膨らむことになる。
「しかも、いざ札幌延伸が実現しても北海道新幹線の赤字解消は困難というのが大方の見方です。いくら札幌圏の路線で黒字をキープできたとしても焼け石に水。JR北海道の企業努力でどうにかなる状況ではありません」(同)
中間決算の発表に先立ち、石破茂総理は10月に札幌市内で行われた演説会で「状況が厳しい、だから本数を減らす。状況が厳しい、だからサービスを落とす。状況が厳しいから路線を減らす。本当にそれでいいのだろうか」「もっとサービスを良くして、路線を充実させ、この地域において、北海道の魅力を最大限に引き出していくためにもう一度きちんと見直していきたいと考えている」と自身の考えを述べている。鉄道を愛する者として、また国政を預かる立場としてこの問題にどう対応していくのか今後に注目したい。