2030年代後半にずれ込む!?開業&延伸予定の「新幹線4区間」はいつになったら完成するのか

 現在工事中、または工事着工が予定されている「新幹線」は、リニア中央新幹線の品川―名古屋―新大阪をはじめ、北海道新幹線の新函館北斗―札幌、西九州新幹線の武雄温泉―新鳥栖、北陸新幹線の敦賀―新大阪の4区間だ。

 ただ、開業時期に関してはいずれも不透明で、例えば、27年に品川―名古屋の開業を目指していたリニア中央新幹線は、静岡県の川勝平太前知事が大井川水源への影響を理由に県内での工事着工を認めなかったことから、工期に大幅な遅れが生じている。

「こうした事態を受けて、今年3月にJR東海はリニア中央新幹線の27年開業を断念する方針を明らかにし、開業は早くても34年以降になる見込みとなりました。しかし、静岡工区は完成まで10年以上かかる見通しで、しかも、神奈川や山梨、長野、岐阜の沿線各県の工区も大幅に遅れており、『開業は30年代後半にずれ込む』との声も出ていますね」(鉄道行政に詳しい大手紙記者)

 同じく建設中の北海道新幹線の新函館北斗―札幌も、複数箇所のトンネルで大規模な岩塊が見つかり、工事が難航している。5月には、延伸工事の建設主体である独立行政法人「鉄道・運輸機構」が国土交通省に、「(30年度末の開業は)極めて困難」と伝えていたことが明らかになった。同機構の藤田耕三理事長はメディアの取材に「数年単位の遅れ」と答えているが、開業時期は未定のままだ。

 22年3月に開業した西九州新幹線も、武雄温泉―新鳥栖が未着工である。実は、着工以前に、国と佐賀県の間で合意に至っていないのだ。

「当初は在来線の線路を利用するフリーゲージトレイン方式で合意していました。でも、国が後にフル規格の新幹線にすると変更したことで合意の前提が崩れてしまったんです」(前出・記者)

 フル規格の新幹線にした場合、佐賀県側が負担しなければならない建設費用が約1400億円となる。そのため、県民からも反対の声が挙がっている。

「フリーゲージトレインなら早期開業が可能ですが、フル規格を主張する国との溝は埋まりません。リニア中央新幹線や北海道新幹線の延伸より遅くなる可能性もありえます」(前出・記者)

 どの路線もいつになったら「完成」するのか…。もはや誰にもわからない、といった状況なのである。

*画像は、リニア見学センター(山梨県)に展示されているリニア新幹線の車両

ライフ