「悪ふざけ厳禁」ドキドキ観光名所15(3)絶景スポットを求めて滑落死

 夏場になると危険性を増すのが水難による事故だ。つい海を思い浮かべてしまうが、実は河川や池、滝なども一歩間違えば危ないことが。こと中学生以下の子供の場合、河川での死亡・行方不明事故が海でのそれよりも3倍になるという。

 例えば首都圏ではお馴染みの東京・あきる野市にある「秋川渓谷」。バーベキューが楽しめることで有名だが、ここ5年ほどの間でも酔った勢いで川に入り増水で流され、溺死してしまう事故が起こっている。

 一見したところ穏やかそうな川のどこが危険なのか。ユーチューブで200万再生超えというバズリを見せた「なぜ川で溺れるのかを検証してみた」の動画制作者で、ラフティングなどのアウトドアカンパニー・フレンドシップアドベンチャーズ代表のノッピ氏が解説する。

「基本的に川底には苔が生えた石がゴロゴロしている。当然、滑りやすくなりますよね? さらに川は表面から大人のひざ下くらいになると流れが速くなります。水圧は相当強く、バランスを崩せば流されてしまう危険性があるのです」

 そればかりではない。ノッピ氏が続ける。

「川底には見えない障害物、大きな岩などもあります。それにぶつかってしまったら大きなダメージを負う。また川の流れ、ポイントによって渦ができている場所もある。巻き込まれた場合、引き込まれて、水中で天地が逆さまのような状態になってしまうこともある。そうなれば、泳ぎに自信があっても対処できません。万が一、事故に遭えば自分だけでなく、一緒にいる人も悲しむことになります。予測できることをよく考えて行動してほしいですね」

 やはり、自己責任では済まないということか。

 滝もまた要注意。日本三大名瀑の1つ、茨城県の「袋田の滝」では絶景スポットを求めて山を登り滑落死するというケースが。またインスタ映えで知られる栃木県の「おしらじの滝」でも4年前に滝つぼに飛び込んだ男性が犠牲になったことがあった。

 わかりやすいリスクもあれば、身近なところにも危険は潜んでいる。相も変わらず「富士山」への軽装登山で痛い目を見る人が絶えない。また、超レアケースだが「東京スカイツリー」に雪が降った翌日。「落雪注意」の立て看板を持った人が配置されたこともある。建物の構造上、落下物を遮るものがないということで事故防止を呼びかけるためだ。

 観光地巡りを楽しい思い出にするか否かは個人の心構えにかかっている。旅を楽しむためにもくれぐれも悪ふざけなどしないように─。

「週刊アサヒ芸能」3月7日号掲載

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