日本のパウダースノーの素晴らしさは世界中のスキー(スノーボード含む)愛好家に知られており、有名スキー場は多くの外国人観光客であふれている。その先駆とも言えるのが北海道の「ニセコ」エリアだが、一部スキーヤーによる行動に悩まされている。
直近でも、2月21日、イギリス国籍の家族3人と日本人男性が絡む事故、さらには中国国籍の女性も立ち木に衝突しケガを負っている。これらの事故に共通するのが管理区域外、いわゆるバックカントリーと呼ばれる場所で起きていることだ。ニセコ町役場・商工観光課担当者が警鐘を鳴らす。
「大切なのはニセコルール(〈スキー場外には必ずゲートから出なければならない〉〈ロープをくぐってスキー場外を滑ってはならない〉‥‥など6カ条。ニセコ町のHPで確認できる。)を守ってくださいということです。これは、エリア内での悲惨な事故を防ぐため、30年以上にわたって侃々諤々と決めてきた地域のルールです。スキーヤーの方の自己責任、個人の自由は最大限尊重しますが、例えばバックカントリー上に跡が残ってしまうと、そのあとを他の人が追っかけてしまう。また、そこを滑ったことで雪崩が起きてしまう可能性もあるのです。つまり、自分がよければ‥‥では済まされないのです」
ニセコでは英語での案内はもちろん、場内では韓国語、中国語でも注意喚起を行っているという。もちろん外国人観光客のみが問題ではないが、日本はある意味、自己責任論に優しい国だ。外国人・日本人ともに肝に銘じてほしい。
このバックカントリー事故は各地で起こっている。2月2日と3日、それぞれ長野県の「野沢温泉スキー場」「飯縄山・瑪瑙山」で日本人、オーストラリア人が遭難し救助された。
また、実はこれらの話はインバウンド以前から問題視されており、10年以上前の話だが、福島県の「裏磐梯猫魔スキー場」で日本人スキーヤー5人が雪崩に巻き込まれて骨折などのケガを負ったこともある。このケースもバックカントリーで起こっているのだ。野沢温泉スキー場などがある、長野県山岳高原観光課がその対策を語ってくれた。
「『白馬』などもそうですが、長野県の場合は登山条例により、登山計画書を作成して届け出をしていただく、ということになっています。さらにビーコン(トランシーバーの一種)のような冬山に持っていくべき装備がありますので、そうした基本の周知徹底をしております。また、インバウンドに関しては、多言語の安全啓発、日本の山の特徴などを説明した動画を作成しました」
備えあれば憂いなし。安全に楽しめということだ。
(つづく)