富士山の山梨県側が7月1日に山開きをすると同時に、オーバーツーリズム対策として2000円の通行料を登山者から徴取。1日の入山者の上限も4000人とした。
同じくオーバーツーリズム対策などを理由に、やはりお金を徴取しようというのが北海道だ。3日、北海道の鈴木直道知事は、ホテルや旅館の宿泊客から「宿泊税」を取る制度の導入を検討するとしたのだ。早ければ26年4月にも導入するという。
「宿泊税は既に以前から可能性を検討していたもので、道がまとめたものは1人あたりで宿泊費が2万円未満で100円、2万円以上5万円未満で200円、5万円以上で500円を課すというものです。道は年間で45億円の税収を見込んでいますが、問題点が様々指摘され、年内の条例制定までは越えなければいけないハードルが残されています」(経済ジャーナリスト)
まずはその年間45億円の税収があったとして「何に使うか」についてだ。道は観光サービスやインフラの拡充に充てるとしているが、富士山のケースと違ってやや見えにくい。また道内ではすでに倶知安町が19年11月から宿泊税を導入しているほか、札幌や函館、小樽を含む10以上の市町村でも導入を検討しているので、「二重取り」になるかもしれないことへの危惧だ。
「特に倶知安町のケースは使い道の問題と二重取りの問題が重なるので比較すると分かりやすいでしょう。倶知安町の場合は宿泊料の2%を徴収するものですが、主にニセコや羊蹄山観光で訪れる観光客が多いことから、宿泊税で得た税収をそのための促進に充てていて、使い道が非常に分かりやすい。また二重取りが発生した場合は、すでに宿泊費の2%で会計のオペレーションが出来ているところに、さらに道の宿泊税が加わるので、システムの変更や現場の手間で業者にばかり負担がかかります」(同)
札幌市は6月27日に導入案を明らかにしているが、それによれば5万円未満が200円で、5万円以上が500円。つまり市と道の双方が導入すれば5万円以上はプラス1000円となり、だいぶややこしいことになる。また宿泊は何も観光客に限ったことではないだけに、一律に課せられるとなると商用での負担が増すだけいった声も出ている。
加えて倶知安町におけるニセコや、多くの人が泊まることになる札幌なら課税の目的も明確だが、そうでない土地の宿泊業者にとってはひたすら迷惑だ。
それも踏まえSNSでは、「外国人から取るべき」との声が多く確かに物価高もあって旅行はなおさら安近短になりそう。取るべきところから取った方が良いのではないか。
(猫間滋)