「早田ひなを破って初めてチャンピオンに輝いたのは、本当に恐ろしいことだ」「現時点では、中国にも同じ年齢層の選手で対抗できる選手が見当たらない」
卓球王国・中国のメディアをしてそう言わしめているのが、15歳の現役中学生選手である張本美和だ。
11月26日、パリ五輪日本代表選考を兼ねた「全農カップ大阪大会」の女子シングルス決勝で、張本は世界ランキング5位の早田ひなをセットカウント4-2で下して初優勝した。
パリ五輪出場をかけた選考ポイントは1位が早田ひなで代表当確、2位平野美宇、3位伊藤美誠が僅差で競って、張本は5位につけている。選考ポイント上位2人がシングルス代表となり、団体戦要員の3人目の代表は日本卓球協会強化本部の推薦で選ばれる。現実的に張本がシングルス代表を獲得するのは厳しいが、残りの大会で鮮烈な印象を与えることができれば、団体戦要員として選ばれる可能性も低くない。現時点の強さなら、平野、伊藤を圧倒して、早田ひなと双璧とも言われているからだ。
「張本選手は穴のない選手ですが、最大の強みはフォアハンドドライブです。バックスイングで十分な“タメ”をつくってから豪快に振り抜くドライブは破壊力抜群。フットワークも俊敏で、相手に左右に振られたとしても素早く反応します。卓越したドライブとフットワークを支えているのが、張本の強靭な下半身。特に発達した大腿四頭筋はとても15歳の中学生のものとは思えません。24年のパリ五輪出場が叶わなかったとしても、28年のロサンゼルス五輪では、トップの中国選手を撃破する張本選手の活躍が期待できます」(スポーツ紙ライター)
張本は試合前、緊張を和らげるためにキレキレのダンスをルーティンにしている。このあたりはいかにもイマドキの女子中学生なのだが、試合中の凄みとのギャップがまた魅力なのだ。
(石田英明)