8月23日、JR各社が冬季の青春18きっぷを値上げすると発表した。2019年10月1日から消費税率が8%から10%に引き上げられること等に伴い、販売価格を改定するという。青春18きっぷはこれまで1万1850円で販売されてきたが、冬からは1万2050円になる。
青春18きっぷは、JR各社の普通列車などが乗り放題になる切符。5回分がセットになっていて、期間内に利用できる。特急や新幹線には乗れないが、鉄道旅に活用しているファンは少なくない。
消費増税分とはいえ、値上げされることに鉄道ファンからブーイングが上がっているかと思いきや、意外にもそうではないという。
「発売してくれただけで感謝というのが、大多数の鉄道ファンの気持ちでしょう。というのも青春18きっぷは近年、発売休止が噂されてきたからです。理由はJRにうまみが少ないから。青春18きっぷで乗れる夜行快速列車『ムーンライト』は、青春18きっぷの旅に欠かせないものでしたが、今では『ムーンライトえちご』は廃止。『ムーンライトながら』も大幅に本数を減らしています。これが販売休止の噂に真実味を与えていたのです」(鉄道ライター)
販売が取りやめになるくらいなら、値上げのほうがはるかにマシというのがファン心理。発売が決まり胸をなで下ろしている人も多い。
「一方で、青春18きっぷはなくならないという見方もあります。同きっぷの売上は、JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州の各社に分配されることになっています。割合は明らかにされていませんが、北海道や四国には、重要な収入になっていると言われている。両社を支援するためにもやめられないというのです」(前出・鉄道ライター)
今後も発売が続くのかどうかはわからないが、とりあえず今冬は発売される。せっかくなら青春18きっぷを使ってお得に旅をしたいものだ。
「青春18きっぷは5回分が1つになっています。5回に分けて使う必要はなく、同じ行程であれば複数人が同時に使うことができる。たとえば3人で同時に利用し、後日に2人で利用するということもできます。ですので、グループでの日帰り旅行に使うのをオススメします。青春18きっぷは特急、新幹線には乗れませんが、在来線のグリーン車はグリーン券を買って乗ることができます。東京からなら、東海道線のグリーン車に乗って、みんなで熱海旅行なんてどうでしょうか。特急や新幹線に比べると時間はかかりますが、友人といっしょなら気にならないものです」(前出・鉄道ライター)
心がけておきたいこともあると、鉄道ライターは続ける。
「5回分がセットになっているので、1回あたり2410円以上利用すると元が取れます。少しでも得をしようと、きついスケジュールを組んで遠くまで行く人を見かけますが、これは疲れるだけでオススメしません。楽しいはずの旅が苦行に変わります(笑)。ちょっぴりお得ぐらいにとどめておくのがコツです」
青春18きっぷを賢く使っていい旅をしたいものだ。