プリゴジンに続き「プーチンの下僕」カディロフ首長が危篤?「毒を盛った主治医を処刑」情報も

 2007年からチェチェン共和国の首長を務め、拉致や拷問、処刑といった人権侵害を行ってきたとして、複数の国際機関から非難され続けてきたのが、プーチンの「忠実な下僕」として知られるラムザン・カディロフ氏だ。

 ワグネル率いるプリゴジン氏亡き現在、同氏配下にあるチェチェンの特殊部隊が、ウクライナ戦争の最前線で重要な役割を担っているとされる。

 ところが今月に入り、カディロフ首長の健康状態をめぐり、重病説だけでなく「死亡説」まで飛び交う騒ぎになっているのだ。ロシア情勢に詳しいジャーナリストが解説する。

「きっかけは、15日にウクライナ国防省情報総局のアンドレイ・ユソフ報道官が、ウクライナの国営通信社『ウクルインフォルム』の取材に対し、カディロフ氏が数日前から重体の状況にあると語ったことですが、カディロフ氏は以前から健康上の不安を抱えていたのだとか。ユソフ報道官は先週にもベラルーシのニュースサイト『Nexta』で同様の情報を語り、その後、ウクライナ内務省のアントン・ゲラシチェンコ顧問が、X(旧ツイッター)の投稿で『彼(カディロフ)が既に死亡していると言う者もいれば、彼が重篤な腎不全か、毒を盛られたかで昏睡状態に陥っていると考えている者もいる』と述べたことで、一気に騒ぎが拡大したようです」

 同氏の発言を受け、ウクライナのニュースサイト「Obozrevatel」も17日、カディロフ氏が昏睡状態に陥り、モスクワに緊急搬送されたと報道。さらに18日には、腎臓移植を受けたものの「重体」であると報じている。

「実は9月上旬にもテレグラムチャンネル『VChK-OGPU』が、ロシア治安当局の内部情報として、カディロフ氏が自身の健康状態が悪化したのは主治医が毒を盛ったからと決めつけ、なんと主治医を生き埋めにして殺害した可能性がある、と伝えています。ただ、この情報は複数情報筋の話ということで証拠はないようですが、このところ、カディロフ氏が表舞台に現れていないため憶測が飛び交う事態になっています」(同)

 そんな中、カディロフ氏が自身のテレグラムチャンネルに「今日は9月20日だ」と語る、病院で撮影したと見られる動画を投稿。動画が本物かどうかを巡って波紋が広がっている。

「この動画は同氏が、モスクワの大統領府中央病院で治療を受けている叔父を見舞ったときのものだとされ、たしかに病室で叔父の隣に座っている同氏の姿が確認できます。ただ、動画は近距離から撮影されたものではなく不自然な印象が拭えません」(同)

 しかも、噂を否定するのなら自身の口で伝えればいいものを、動画には《私の健康状態をめぐる噂について話そう。全能の神のおかげで私は元気だ。(中略)だが今回の件でメリットもあった。どのメディアやどの人物が図々しく嘘をついているのかが分かったからだ》と、文章のみで反論しているのだ。これは何を意味するのか。

 今年2月には、「公職を離れた後、民間軍事会社を設立する」との計画を表明。ワグネルに追随しプーチン氏が支払う公金を利用して大儲けを目論んでいたとみられるカディロフ氏だが、はたしてその運命は…。

(灯倫太郎)

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