「聖像画移設」が奇跡を呼ぶ!ウクライナ大反攻の裏で“苦境”プーチンの「神頼み」

 ついに大規模反攻の火ぶたが切って落とされたのか。ロシア国防省は4日、ドネツク州でウクライナ軍による6つの機械化大隊と2つの戦車大隊を配備した大規模攻撃を受け、これを撃退したと発表。加えて、両軍いずれもが複数の戦線で広範な戦闘が起きていることを認めており、ウクライナによる反転攻勢がいよいよ始まった可能性を示している。

 そんな中、首都モスクワにあるロシア正教会の総本山「救世主キリスト大聖堂」では、伝説的なイコン画家、アンドレイ・ルブリョフが15世紀に描いたとされる「聖三位一体」の一般公開が始まった。西側はこれを、戦争が長期化するなか、プーチン政権が宗教を通じて国民の団結を呼びかけるプロバガンダとみて、その動向を注視しているという。

「『聖三位一体』は、現存する同国史上最高峰とされる中世のイコン(聖像画)で、1929年から国立トレチャコフ美術館に保管されていました。ところが先月、プーチン大統領がいきなり、ロシア正教会に引き渡すと言い出した。正教会は政権の支持基盤の一つで、キリル総主教はウクライナ侵攻を支持する発言を繰り返してきた人物。ただ、今から600年も前に描かれた絵ですから当然、劣化が激しい。美術品専門家らは、温度や湿度が厳重管理された美術館だからこそ最低限の劣化で済まされたが、それを移動するなどとんでもない、と反対意見も多かったといわれます」(同)

 むろん、美術品の管理を担当する司祭も反対の立場を示したが、5月27日、ロシア正教会はこの司祭を突如解任。結果、3日夜にイコンは政権支持基盤であるロシア正教会の大聖堂に移送された。教会の役職を解かれた司祭は、その後突然の心臓発作で入院したことが明らかになり、独立系メディアでも『またもや謎の心疾患』と報道。反対=入院という恐怖のスパイラルに、市民も不安を募らせているようだ。

 今回のイコンの移設について、正教会のキリル総主教はミサのなかで「祖国が非常に大きな敵と対峙している象徴的な時期にプーチン氏が歴史的な決断を下した」と称賛している。

「プーチン政権はこれまでにも、国民の支持高揚のために正教会との繋がりを利用してきましたが、このところプ—チン氏自身の宗教色が強くなっており、『自分には欧米の退廃した文明からロシアを守る特別な使命がある』などと神がかったことをしばしば口にするようになった。さらに、シベリアの祈祷師を呼んで戦争の勝利を拝んでいるという噂もあります。そう考えると、今回のイコン移設はプロバガンダだけでなく、『神頼み』的な要素が強いとも考えられます。独裁者が最後にたどり着くのは神頼みだと言われますからね。プーチン氏も神にすがるような心境に追い込まれているのかもしれません」(同)

 移設反対司祭の心臓発作に、神頼み…最悪な事態が起こらないことだけを祈りたい。

(灯倫太郎)

ライフ