政府が備蓄米の放出を決定した後も期待したほど下落していない米の市場価格。この1年で相場は1.5倍以上に高騰し、主食ということもあって家計を大きく圧迫する要因にもなっている。実際、総務省「家計調査」を見ると、24年における2人以上の世帯のコメの年間支出額は2万7178円で、前年比33.2%増と大幅に増えている。
「ただ、支出額はコメ相場の上昇率ほど増えていません。世の中のあらゆる物価が値上がりしている中、特に消費量が多いコメの買い控えが顕著だったことを意味します」(食品ジャーナリスト)
だが、コメの支出額は地域によっても異なるようだ。
24年の上位は、宮崎市(3万4497円)、浜松市(3万3870円)、新潟市(3万2991円)、福井市(3万2977円)、相模原市(3万2734円)の5都市。一方、支出額がもっとも少なかったのは、鳥取市の1万6752円。2位以下には、山口市(1万7075円)、大分市(1万9724円)、高松市(1万9786円)、松山市(2万1709円)が続く。
ただし、宮崎市の23年の支出額は1万8881円と同年の全国平均よりも少なく、鳥取市に関しては1万7135円と、相場が高騰した24年よりも支出額が多かったのだ。
ところが、農林水産省が公表する「米の相対取引価格・数量」を見ると、宮崎県で最多の作付面積を誇るヒノヒカリは、県内で流通する23年産米平均価格は全国平均より0.6%安、2番目に多いコシヒカリは4.8%安かったことが判明。また、同年産の鳥取県のきぬむすめ、コシヒカリ、ひとめぼれの地元産主要3銘柄は、それぞれ2~7%安かったことが分かった。
「つまり、これらのデータから、宮崎市の方は米の買いだめに走り、鳥取市の方は購入自体を控えた傾向にあったことが推察できます」(同)
どうやらコメの高騰は、国民の消費者行動そのものを変えてしまったようだ。