ウクライナ国防省の情報総局担当者は9日、公式SNSにロシア政府が15日に最大50万人の追加動員を計画しており、すでに大統領令が固まっているとの情報を掲載した。
「担当者によれば、今回の動員ではモスクワやサンクトペテルブルクなど主要都市を中心に、職業に関わりなく徴兵する可能性があるとしています。というのも、これまでロシア政府は社会的分野や経済分野の仕事に携わる人たちを暗に動員の対象から外していました。しかし、劣勢に次ぐ劣勢で、そんなことも言っていられなくなったのでしょう。今後は女性が対象になる可能性も出てきたといいます」(全国紙記者)
実際、昨年12月22日のAFP通信によれば、ウクライナに戦闘部隊を派遣するロシアの民間軍事会社「ワグネル」代表のプリゴジン氏が、ロシア国内の刑務所を回り、服役中の女性を前線に派遣するためにスカウトを始めたと映像入りで報道している。
「ワグネルは数カ月前から、減刑や高給と引き換えにロシア国内の刑務所に服役している受刑者らを、ウクライナの前線に派遣してきました。プリゴジン氏によれば、そんな状況を受け女性受刑者からも戦争に参加したいという声が増えたそうです。そこで新たに女性囚人の募集を始めることになったと説明しています。たしかに、旧ソ連時代には勲章を授与される有数の女性狙撃兵がいたのは事実ですが、女性受刑者は武器の扱いなどは素人でしょうからね。前線で即戦力となるのかどうかは疑問です」(同)
ここまでくると、老若男女関係なく志願して戦地に行くという人間であれば無条件に採用したいという意図が見えるロシア軍だが、一方でワグネルがスカウトした囚人たちは、「最前線で6カ月戦闘すれば恩赦を与える」という条件で戦場に送られているため、“使用期間”を終えて最前線から復員し始めているというのだ。
「これまで多くの欧米メディアは最前線に送られて生きて戻っている兵士はいない、と報じてきました。ところが、ウクライナ保安庁と、ウクライナの法執行機関とが連携して制作するメディア『ラジオ・スヴォボダ』は6日、すでに囚人兵士約20人が復員し前科も抹消されたとして、プリゴジンと囚人兵士が握手する動画をロシアメディアが公開したと伝えています。20人の中には覚醒剤製造・販売グループのトップや、宝石強盗グループのトップのほか、複数の殺人を犯した男がいるとされ、恩赦で彼らがすべて解き放たれることになるわけです。自由になった彼らが、いきなり健全な生活を送るとは考えづらいですからね。今後も同様に凶悪犯が続々復員する事態になれば、国内の治安が悪化するのではないかと、国民の間に不安が広がっているようです」(同)
対ウクライナ問題に加え、国内での犯罪多発も懸念され始めたロシア。この危険な大国に明るい未来はあるのか。
(灯倫太郎)