精米機ブーム到来!「令和のコメ騒動」で需要急増、玄米シフトが家庭に広がる

 全国的なコメ不足が日本列島を揺るがす中、意外な“主役”が脚光を浴びている。それが「精米機」だ。家庭用・業務用ともに需要が急増しているという。

「アイリスオーヤマの主力モデル『RCI-B5-W』などは、最大5合の玄米を2分~5分半で標準白米に仕上げることができる。価格は1万7000円前後と決して安価ではないが、需要は急上昇しているようです」(家電ライター)

 この傾向は他の家電量販店でも同様で、ある大手店舗では「昨年の数倍にあたる数十台が今年に入って販売された」との情報もある。

 また、農業関係者によれば、都市郊外や地方に設置されている「コイン精米機」も好調だ。

「昨年から使用頻度が顕著に増え、5月は前年比2倍に達したケースもあります。売上は平均で2~3割増だそうです」(社会部記者)

 コイン精米機は1台300万円前後。利用者が月に20人いれば約4年半で投資を回収できるとされるが、利用者が倍増すれば2年で元が取れる計算になる。手間も「ぬかの回収と簡単な掃除程度」で済むため、新たに設置を検討する業者や個人も増えているという。

 精米機の需要の高まりを、経営コンサルタントは次のように分析する。

「コメ価格高騰で、一部の消費者がスーパーなどの小売ルートから、農家直販に切り替えつつあります。特に30kg~60kg単位で購入する人が増えており、その多くが玄米で届くため、家庭で精米する必要が出てきたのです」

 農協関係者もこれに同調する。

「自主流通米が増えたことに加え、昨年の宮崎県の震度6地震を契機に“非常時の備え”として玄米を常備する家庭が増えました。必要に応じて少しずつ精米するスタイルが広がっており、これも需要増の要因です」

 健康志向の高まりも背景にある。農業関係者は「精米機なら白米だけでなく、5分づきや7分づきも選べる」と話す。ただし、一般家庭には政府備蓄米のような冷蔵設備がないため、「古米の長期保存は難しく、大量購入は控えたほうが良い」ともアドバイスする。

 今後、玄米購入者がさらに増えれば、精米機市場の拡大は加速しそうだ。「白米でなければコメではない」という従来の価値観は、今や過去のものとなりつつある。

 そして、「備蓄米」の大規模放出でコメ価格がどこまで落ち着くか――。この“コメ騒動”の行方から、しばらく目が離せない。

(田村建光)

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