仕事はやっぱり過酷? 年収1000万円のチェーン店店長のリアル

「ガスト」や「バーミヤン」、「ジョナサン」などの大手ファミレスチェーンを展開するすかいらーくHDは新たな人事制度を導入。これまで現場の責任者である店長の年収は最高840万円だったが、今後は1000万円を超える可能性があるという。

 だが、業種に限らず店長は職務内容が多岐にわたり、仕事量も多い。特に飲食業界の場合、どうしても激務になりがちだ。

 大野宏明さん(仮名・43歳)は某飲食チェーンの元店長だったが昨年退社。あまりのハードワークに身体を壊し、このまま勤めることに不安を感じたからだ。

「店舗は慢性的な人手不足。私が常にフロアに出て接客する必要がありました。当然、それとは別に事務仕事もこなさなければならず、1日15時間前後働くことも多く、バイトが休んで休日返上になることも珍しくなかった。年収は辞める前は800万円近く貰っていましたが、みなし残業込みの額だったので全然割に合わなかったですね」(大野さん)

 頭痛や身体の倦怠感、微熱に悩まされるようになり、医師からは「過労が原因」と言われた。いずれはエリアマネージャーに昇格し、本社勤務という青写真を描いていたが、このままでは身体を壊すのが先だと感じ、悩んだ末に退職の決断に至った。

「妻に心配されたことも大きかったです。子供はまだ手のかかる年齢のため、ここで倒れるわけにはいかないので…」(大野さん)

 もちろん、すかいらーくHDのような店長の最高年収の大幅増は社員のモチベーションをアップさせ、人材確保にもつながる。ただ、ビジネス誌の記者は「同社の取り組みは高く評価できる」としながらも、業界を問わず店長の職場環境はブラックになる傾向があるとか。

「パチンコ業界のように年収1000万円超の店長が多い業界もありますが、飲食系やアパレル系は500万円以下の人も多い。しかも、会社もノルマなどのプレッシャーはかけてもフォローが不十分だったりします。店長でも肩書と業務内容が収入に見合っていない企業が多いですね」(ビジネス誌記者)

 低賃金なのに店長という役職を与え、やりがい搾取をするような真似はそろそろやめたほうがいいかもしれない。

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