夏の甲子園「酷暑対策」解決のヒントになりそうな「4年前の異例措置」

 今夏の甲子園大会は好試合の連続だった。中でも準々決勝の下関国際VS大阪桐蔭戦は名勝負として語り継がれるだろう。

「手に汗握る熱い戦いでしたが、この試合が始まったころ、甲子園球場周辺の気温は30度を超えていました。猛暑の中の試合は選手もスタンドも大変です」(現地メディア)

 暑さ、熱中症対策は早急に解決しなければならない課題だ。甲子園球場のテレビとラジオの放送ブース、記者席はバックネット後方のスタンド席上段にある。ここにいると、全力プレーの球児たちを間近にしているせいか、水分補給することにも“罪悪感”を抱いてしまうから不思議だ。

 日本高野連が球児とスタンドのファンを守るため、暑さ対策について話し合ったのは7月27日だった。運営委員会は将来的に「朝と夜の2部制」の導入も検討しているという。アマチュア野球担当記者が話す。

「ナイトゲームになったら、応援者の帰宅時間も遅くなりますし、『夜に試合を?』と風紀上の問題が指摘されるかもしれません」

 また、タイブレーク制が導入された2018年センバツ大会時のように「ナイターは高校野球らしくない」などという批判も出るだろう。しかし「高校野球のナイトゲーム」のサンプルがあった。

 2018年、甲子園出場を争う京都府大会準々決勝の一部がナイターで行われていた。

「当初は午前8時半から順番に4試合を行う予定でした。でも、記録的猛暑により、第3試合を午後4時から、第4試合を午後6時半開始に変更しました。前日に判断されましたが、混乱はありませんでした」(地元メディア)

 実際には第4試合の開始時刻は午後7時01分、ゲームセットは午後10時37分だった。スタンドで応援する高校生の帰宅時間を心配する声はやはりあったそうだが、問題はそれだけではなかった。

「試合をする球児の集中力ですよ。午前7時には起床していたので、午後8時を過ぎれば、彼らの集中力も落ちてきます」(前出・同)

 勝ち上がっていくにつれ、早朝試合の次はナイトゲーム、その後にまた、早朝試合なんてこともあるかもしれない。それで体調を崩す球児も出てくるだろう。

 ただ、「サンプルケースがあった」ということで、暑さ対策は一気に解決に向かう可能性も出てきた。もっとも、大阪桐蔭と下関国際のような好ゲームがナイトゲームで生放送されたら、NPBがテレビ視聴率を奪われてボヤくかもしれないが‥‥。

(スポーツライター・飯山満)

スポーツ