ウクライナの次は台湾!? ロシアのウクライナ侵攻は短期で決着せず、西側諸国が想像以上の結束を見せているが、「ウクライナの次は台湾」との大きな見立ては変わっていない。
そこでアメリカの海軍分析センター(CNA)が最近、2030年に中国が台湾に侵攻した場合のシミュレーションをウォーゲーム(分析シナリオ)で行ったところ、〈アメリカ軍艦船が撃沈されて台湾人が戦意喪失〉という最悪シナリオから、〈台湾の防衛が成功して次の迎撃態勢を取る〉という最善の事態まで4つのパターンがはじき出されたという。
「CNAが結果を公表したのは4月4日のこと。それによれば、
①中国がサイバー攻撃を仕掛けた後、無数のミサイルが飛んできて、防空網や通信施設が破壊。次いで押し寄せた中国艦船にアメリカ海軍が撃沈され、上陸した中国軍に対し台湾人が戦意喪失する。
②開戦までは①と同じだが、米軍基地のミサイル防衛システムが機能して、中国軍上陸までの台湾軍が結集する時間が稼がれる。
③台湾の防衛能力が機能してミサイル攻撃を阻止。米軍も潜水艦やミサイルで中国艦隊の無力化に成功して、その後長期にわたり対峙する状態になる。
④攻撃を察知した台湾のサイバー攻撃が機先を制し、中国軍の命令系統を寸断。中国のミサイルの大半が迎撃され、中国海軍には機雷でダメージ。米軍のバックアップもあって、中国の次の攻撃を撃退する態勢が維持される。
おおよそ、こんなところでした。注目すべきは①の最悪のパターンが含まれていることでしょう。なぜなら、台湾・アメリカ側が負ける可能性も十分あるということになるからです」(週刊誌記者)
同様のウォーゲームの結果については、昨年7月にも敗北の可能性があるとして伝えられた。また、他の研究機関によるシミュレーションでも、近年はアメリカの不利が導き出されている。
「分析に当たったスタッフからは、『失敗する条件を探し出すことが重要』とのコメントがあり、要するに失敗から学ぶということなのでしょう。ゲームは2030年の世界を見越したもので、AIを駆使した最先端の分析ですが、中国は対GDP比7%の軍事費を割いており、これは日本の防衛費の6倍に相当します。しかもイケメン俳優を使った動画を流して中華人民軍のイメージアップを図ったり、兵士の給与を40%もアップして人材の確保にも抜かりはない。世界の警察を辞めざるを得なくなったアメリカの軍事的有利がいつまで続くか怪しいものです」(同)
このシミュレーションをウクライナに当てはめてみれば②か③になろうが、戦いは長期に続くということになる。それはベストシナリオである④でも変わらない。となると、最後は粘り勝ちとなるだろうから、いずれにしても現実はシミュレーション以上に厄介なのは確かだろう。
(猫間滋)